胡散臭いの意味・由来・語源とは?そもそも胡散とは何なのか?茶碗?

「胡散臭い」という言葉があります。

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なんとなく怪しいというようなイメージの言葉ですが、この「胡散臭い」は何を語源にしたものなのでしょうか?

ということで「胡散臭い」の語源・由来を探ってみることにしました。

胡散臭いの語源を考えるうえでキーポイントになるのが、胡散(うさん)という言葉ですね。イメージとしては「胡散」という怪しい、臭いを放つ植物があってそこから取ってきたというのが真っ先に思い浮かびます。

しかし、実際には胡散(うさん)という植物は日本に限らず、そのほかの国でも存在しません。

胡散に最も近いのは胡乱(うろん)という言葉です。胡乱というのは室町時代に中国から日本に輸入された言葉で、中国北方・西方の民族「胡(えびす)」が中国を攻撃した時、中国の住民が慌てふためき混乱が生じたという故事が由来になっています。

そのため当初は「乱雑」という意味で使われていたのですが、後に「不審なさま、怪しいさま」を表す言葉として使われ始めました。これは現在の「胡散臭い」とも意味が通じる言葉ですね。

一方で、当の「胡散臭い」のほうはというと江戸時代中期から「胡散」あるいは「烏散」という表記にて使用されているのが確認されております。

この「胡乱(うろん)」が転じて「胡散」へと変わっていったという説がありますが、室町時代から江戸時代中期にかけての空白の期間が気になりますし、なぜ「乱」が「散」へと変わったのが理由がはっきりしません。字を見ても似たような字を使っているとも思えませんし、音を聞いても「うろん」と「うさん」ではそれほど聞き間違えるようなものにも思えません。

さらには、ポルトガル語で「怪しい」を意味するVsanna(ウサンナ)を語源にしているという説もあります。

確かに、日本はかつてポルトガルとの交流は盛んで、あの鉄砲が伝来したのもポルトガルからです。さらには多くの人が日本料理と誤解している天ぷらも、ポルトガルがもたらしたものです。

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しかし、日本がポルトガルと交流があった時代と「胡散臭い」が使われ始めた時代がどうしても合わないのです。「胡散臭い」が使われ始めたのは江戸時代の中期からという風に述べましたが、日本が鎖国体制に入ってポルトガルとの交流を絶ったのは1639年と、200年以上続いた江戸幕府体制における初期の初期です。

まあ、確かに現在でも「なぜ今頃になって?」というようなものや言葉が急に流行りだすというのは結構あることですよね。その背景には著名人が使い始めたとか、何らかのきっかけがあってそういうことが起きるのですが、そういう話も由来として聞こえてくるわけでもありません。

仮に、何らかのきっかけがあって江戸時代の中期に使われ始めたとしても、その根拠がはっきりしない以上はこの説の信憑性もちょっと疑わしいところですね。

さらには、茶碗の一種で黒の釉薬(うわぐすり)をかけた天目茶碗「烏盞(うさん)」から取った、とする説があります。おそらく、この説が最も信憑性が高いと思われます。

この茶碗は、高価な高麗の焼き物といわれたそうですが、生産地や年代などがはっきりせず、実際には中国からのものが多く、本物かどうか判別がつきませんでした。このことから転じて、偽物くさいこと、どことなく疑わしいことを、「うさんくさい」と表現するようになったというものです。

パッと見、烏盞(うさん)の盞という漢字はなじみがあまりないですが、それが上述のように「烏散」という簡単な漢字に置き換わっていったとすると納得がいきますね。そしてこんな時代から中国という国は紛い物の代名詞的存在だったのか、と思うと少し笑えます。

その他にも、胡散という香辛料があったとか、苦いわりに全然効かない薬の名前が胡散だったという説もあるようですがそういったものが存在した形跡がないためどうにも「胡散臭い」説として片づけられております。

まあ、胡散臭いの「胡散」が何なのかわからないというのも、それこそが「胡散臭い」の象徴らしくていいんじゃないでしょうか。はっきり語源が分かってしまっては胡散臭さがなくなってしまいますからね。

胡散臭いの意味とは

胡散臭いの意味としては「何となく怪しい」「何となく疑わしい」というものになります。確証は持てないけどなんとなく、というニュアンスが含まれているのがポイントと言えるでしょう。

単に怪しい、疑わしい、と言うよりも、より自分の主観が強く入った言葉になります。

ここまで「胡散」の言葉の意味や語源などを考えてきたわけですが「臭い」という言葉のほうにはほとんど触れてきませんでした。

これは「臭い」という言葉が「~らしい」「~ぽい」という言葉と同じような意味の接尾語として使われているにすぎないからです。違いとしてはマイナス評価の形容詞に付け足すことが多いのが「くさい」で、もうちょっと広い用途で使われるのが「らしい」「ぽい」であるというものがありますね。

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