アメリカ大統領選挙は、民主党のヒラリー・クリントン氏を共和党のドナルド・トランプ氏が下しトランプ新大統領が誕生することとなりました。
大統領選挙と合わせて連邦議会選挙も行われ、共和党が上院の過半数を維持することとなり、上院、下院、大統領がすべて共和党優勢ということになり一気にねじれが解決したことも大きいですね。
日本と同盟を結んでいるアメリカの大統領が変われば、日本に及ぼす影響というのも大きいと思いますが、「政治家なんて誰がやったって同じだよ」と思考停止している人が多いため、具体的に「トランプ大統領」誕生によってどのような影響があるのか、ということが分からない人も多いでしょう。
当サイト管理人も政治ニュースに関してのプロというわけでは決してありませんが、素人なりの言葉で、素人にわかりやすいように説明をしていきたいと思います。
ドナルド・トランプ氏は「アメリカを再び偉大に」という選挙スローガンを掲げ、アメリカの国益を最優先させる「米国第一主義」の政策を大統領に当選した際に行うとする「政権公約」としてあげていました。
まあ、どの国の大統領・首相も自分の国のことを優先させるために動くのでそれは当然のことといえます。ましてや選挙期間中のリップサービスというのもありますからね。
政権公約としては
- 米中貿易の改革
- 退役軍人省の改革
- 税制の改革
- 武器所有権利の拡大
- 移民改革
の5つを挙げておりますが、さらに細分化してみていくと日本に及ぼす影響というのは①日米安保条約の問題 ②貿易の問題の2つに分けられそうです。
まず大前提として、トランプ大統領は日本人が嫌いのようです。
それは、自身がニューヨークの不動産業者として切磋琢磨していた80年代~90年代の頃、日本がライバルとして立ちはだかっていた経験からきているようです。いわば私怨ともとれる「日本嫌い」ですが、日本に対する知識もそのあたりで止まっているようです。
これまでにも数々の「日本嫌い」が見て取れる発言を繰り返しており、それらが後述するトランプ大統領の対日本政策にも現れているのです。それは経済のこと、防衛のことなど実務におけることのみならず、あろうことか日本人のことを「サル」呼ばわりするという人種差別的な発言も過去にしています。
そのうえで、上述したトランプ大統領の政策による2つの日本への影響を見ていきましょう。
日米安保条約の問題
「日本が攻撃されたらアメリカはすぐに駆け付けなければいけないが、アメリカが攻撃されても日本は助けない。ならアメリカは日本の防衛に資金を費やす必要はない」
「米軍の駐留経費を全額負担しなければ、海外在留の米軍部隊を撤退させる」
自分たちの財政が苦しいのになぜ他国を助けなければいけないのか、というくすぶった気持ちを抱えていた人の代弁者となり支持を集めたのがこの発言です。
現状の憲法では日本の武力行使というのは最低限の自衛に留まらなければならず、その線引きが曖昧なために尖閣諸島問題、竹島問題、さらには北朝鮮拉致問題など他国になめられた行動をとられているのが日本ですね。
まあ、このトランプ大統領の発言は「日米安全保障条約はアメリカだけが負担を強いられている」とでも言いたげで、在日米軍による犯罪のことなど全く気にも留めていないので癪ですが、ともかく防衛をアメリカに頼ってばかりいる日本の現状を見直す好機にもなりえるのです。
そして、トランプ大統領は日本の核保有を容認するような発言もしています。
核保有が必要かどうか、ということも議論の余地があるでしょうが、ともかく日本が武力を持つかどうか、という議論にも発展していくでしょう。
武力を持つということ=戦争 と早とちりする人もいますが、自衛のためだとしてもある程度の暴力と、「それをいつでも行使できること」という二つがどうしても必要です。
例えば治安を維持する警察官は拳銃というまぎれもない「暴力」と、いつでもそれを行使できるんだぞという権利があるからこそ職務を全うすることができるのです。おそらく拳銃を持っていても「殴られたときにしか使えない」としたら、「警察官とか怖くねーな」となめてかかる人が多発するでしょう。
国防の理想論としては、アメリカに頼らずすべてを自ら防衛できるようになれば在日米軍問題も起こらず、アメリカに媚びを売る必要もないということになりますからね。
貿易の問題
「日本から何百万台も車が流れ込んでいるが、ほとんど関税がかかっていない」
「東京にはシボレーが一台も走っていない」
「日本人はアメリカの食料を買おうともしない」
このように発言し、明確にTPP反対の立場を表明してきたトランプ大統領ですから、TPPそのものの実現が危ぶまれております。
もともとこのTPPという条約は、アジアの小国間で関税をなくそうという話だったのですが、そこにアメリカが図々しく割って入ってきて「日本も参加しろよ!」と、実質日本との二国間の貿易協定を結ぶつもりでした。
なのでここにきての手のひら返しというのはどうにも解せないところがあるのですが、どうやらこれはTPP交渉にあたった甘利明氏が日本に有利な条件になるように切磋琢磨したということがあるようです。
当初の思惑とはだいぶ違ってしまったために、顔色を変えて反対、としてきたのですね。
とまあ、防衛にしても経済にしても、基本的なトランプ大統領のスタンスとしては「知るか。アメリカに頼らないでやってね」というものなんですね。
日本が本当の意味で「独立」するための好機となればよいのですが。