とんでもないの意味は?”とんでもございません”は誤用?言い換えは

「とんでもない」という言葉があります。

程度がすごく大きい様を表すのに使ったり、謙遜として「いえいえ、とんでもない」という風に使ったりします。

とんでもない

いや、奴はとんでもないものを盗んでいきました。

さらにこの「とんでもない」を丁寧に言うつもりで「とんでもないです」、さらには「とんでもございません」という風に使われたりしますが、実は「とんでもございません」というのは「とんでもない」を誤用した形の言葉だとされています。

「ない」を丁寧に言って「ございません」、一見正しいように思えるこの言葉の正誤は、「とんでもない」自体の意味・語源・由来を知ることで理解が深まります。

ということで、こちらでは「とんでもない」の意味・語源・由来についてお伝えしていきたいと思います。

とんでもないの意味・由来・語源

「とんでもない」の意味は

①思いもかけない。意外である
②もってのほかである
③まったくそうではない(強い否定)。滅相もない

という風になります。

元々は、「途でもない」という言葉だったのが、音が変化して「とんでもない」になっていきました。

「途」という言葉には道、道理、道程といった意味が含まれます。それは「途中」「途上」という言葉があることからもなんとなくわかりますね。

つまり「途でもない」というのは「道理から外れている」「思いがけない」という意味になるのですね。

「とんでもございません」は誤用なのか?正しい使い方は

さて、冒頭でも少し触れた「とんでもございません」が誤用なのかどうかについて改めて考えてみたいと思います。

いわゆる「正しい日本語」を説明しているほかのサイトを見ると

「とんでもない」で一つの言葉なのでそれを分解して「とんでも」+「ない」にすることはできず、『とんでもございません』というのは誤用である

という説明をしています。

確かに「とんでもない」自体が一つの言葉であり、それをいじるのは間違いというのは筋が通っているのですが、言葉というものは何を正しいとするのかというのは非常に難しいところです。

「元々の使い方から外れている」のが誤用だとすれば、「途でもない」から変化したそもそもの「とんでもない」自体が「途でもない」の誤用ということになります。なので「正しい『とんでもない』の使い方」という表現自体矛盾しています。そもそも「とんでもない」が誤用だからです。

そう考えると、「とんでもない」の「ない」というのは否定を意味しますから、「とんでもない」を「とんでもございません」という風に言い換えるのは文法上では何も間違っていないので、一概に誤用とは言えないのではないでしょうか。

そもそも言葉というのは時代とともに変化していくものであって、それが大多数の人に使われればたとえ誤用でもそれは正しい使い方となっていきます。前述の「とんでもない」もおそらく、「途でもない」の言い換えとして大勢の人に認められ、市民権を得たから今に至るという経緯があるでしょう。

であるならば、「とんでもございません」という言葉も時代とともに変化した「正しい言葉」と言えるでしょう。それに、言葉の本懐というのは正しい使い方かどうか、ではなく相手に意図を伝えることにありますよね。「とんでもございません」という表現で、自らの謙遜の意を相手に伝えることができているのならば、仮にそれが間違っていても問題はないと思います。

事実、この「とんでもございません」という言葉は2007年に文化庁が答申した「敬語の方針」において「相手の褒めや称賛の言葉を打ち消す表現として問題ない」という風に、正しい敬語として認められています。

とはいえまだ敬語として認められて日が浅く、世の中には「正しい日本語の使い方」にやたらうるさい人がいることも事実です。そのような人に目をつけられないようにするには、自衛のために「一般的に正しいとされている」使い方を覚えておくのが良いでしょう。

一般的には「とんでもない」で一つの言葉であって「とんでも」と「ない」を分けて考えることは間違い、という風にされてもいますからね。

この「とんでもない」を「とんでもございません」以外の言い換えをするなら「とんでもないことでございます」というのが正しい言い方になります。

コールセンターなどではこれが「正しい言い方」として習うようですね。一番言葉遣いに気を付けなくてはならないところです。

とはいえ、この「とんでもない」という言葉を使う時というのは相手がこちらを気遣ったりだとか、何かお褒めの言葉を頂いた時になりますよね。例えば「あなた説明がすごく上手で助かるわ~」だとか「忙しいところごめんなさいね」だとか「長話しちゃってごめんなさいね」などの気遣いの言葉をいただいた時の返しとして使うことがほとんどです。

つまり相手はこちらに対してそれほど敵意がない状態ですので、ここで仮に間違った言葉を使ってしまってもそれほど揚げ足取りのようなことをされることはないでしょう。

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