「手塩にかける」
「手塩にかけて育てる」
といった表現は日常でもよく使いますね。
イメージとしては「大切にしていること・大事にしていること」というのをより強調する意味で使われる事が多いです。
しかし、そもそも「手塩」って一体どういう意味があるのかということが気になりませんか?
手塩の意味もさることながら、「手塩にかける」「手塩にかけて」という表現はますますよくわからないです。
手に塩をつけてもんであげるのでしょうか?血行は良くなりそうだけど傷口にしみそうな感じがします。大切にしているというよりは少々荒っぽいような。
そもそも手に塩をつけてかけるのならば「手塩をかける」になりそうなものですが・・・
ということで
「手塩にかける」
「手塩にかけて」
の意味・由来・語源についてお話していきたいと思います。
手塩とは?
まずは「手塩」というものが何なのか?ということからお話していきたいと思います。
手塩というのは昔の食膳に添えられた少量の塩のことです。
元々は不浄なものを祓うために食膳に添えられたのですが、いつしか自分の好みに合わせて塩加減を調整するという意味合いを持つようになっていきました。
まあイメージとしては「自分の手でかける塩」だから手塩って感じでしょうね。
そう、手塩は「自分の手でかける」というところがキーポイントです。
自分の手でかけるということは、逆に言えば「他の人の手を借りない」ということ。
このことから、人任せにせず自らが面倒を見ることを意味する表現として「手塩にかける」「手塩にかけて」というのが使われるようになったのです。この表現は江戸時代から見られるようです。
手塩をかけるが誤用なのはなぜか?
しかし、「手塩にかける」「手塩にかけて」の最大の謎は、冒頭でもお話した
「なぜ手塩をかけるではないのか?」
というところにあるでしょう。
しかし調べたところ、なぜ「手塩をかける」では誤用なのかというのを明確に説明しているところはありませんでした。
そもそも文法で言うなら「手塩をかける」のほうが正しいですからね。この表現は何ら間違っていません。
とにかく「手塩にかける」「手塩にかけて」という表現が正しいから、「手塩をかける」は誤りなのだという何ともお粗末な結論になってしまいます。
おそらくですが、最初にこの「手塩にかける」「手塩にかけて」という表現を用いた人物は、あえて本来の文法から「外す」ことで言葉を強調したいという目的があったのではないでしょうか。
あえて間違った表現をしたり、逆の意味の言葉を言うことで意味を強調するというのはよくあることですよね。
ヤバいという言葉なんかは正にその典型です。
「手塩にかける」「手塩にかけて」と表現することでより「手塩」に注目させるということを狙ったのではないか、というのが個人的な予想です。
以上、「手塩にかける」「手塩にかけて」の意味・由来・語源の調査についてでした。