祝日にはハッピーマンデー制度によって日付が毎年違うものもあれば、天皇誕生日などのように必ず日付が固定されているタイプのものもあります。
その中にあって、秋分の日というのは決め方が特殊で、正確さを重視すると毎年9月23日頃という表現になります。
2012年から2044年までは閏年は9月22日で平年は9月23日という特殊な決め方になっています。2012年の秋分の日は9月22日でしたが、これが実に116年ぶりというものでした。
一体どういう決め方をしているのでしょうか?秋分の日の由来も合わせてお伝えしたいと思います。
秋分の日の由来と歴史
古来から農村部では春分に農作物の豊作を祈り、秋分に農作物の豊作を祝うという慣習がありました。農耕民族である日本人の年間行事というのは、須らく農業と結びついていますね。
そこにおいて祖先の霊を春分以前に山から里に迎え、秋分以降に里から山へ送る儀式が行われていたのですが、仏教が浸透するといつの間にか祖先を供養するという行事に代わっていきました。秋分に何かの行事を行うという礎は元々出来ていたようですね。しかし、祝日として定められるのはもっと先の話です。
今では祝祭日というのは当たり前のように存在しておりますが、元々は「祝祭日」というものすら存在しておりませんでした。
明治6年10月14日、太政府官布告第334号において「年中祭日祝日ノ休暇日ヲ定ム」として、初めて祝祭日が定められました。日本の歴史から言っても結構新しいものですよね。しかし、最初に祝祭日が定められた時点では秋分の日も、秋分の日に由来するような祝祭日も定められませんでした。
この太政府官布告により祝祭日が初めて定められてから5年後の明治11年に「秋季皇霊祭」という祝日が定められました。これは歴代の天皇を・皇后・皇親の霊を祭るという日本の文化を強く反映した日で、秋分の日の元になりました。
日本の祝日というのは、このように元々は天皇を祭るという性格のものが多かったのです。文化の日なんかもそうですね。しかし、戦後の日本はGHQ統治下において「国民の祝日に関する法律」が定められ、天皇信仰が強いこの祝日は禁止され「祖先を敬い亡くなった人をしのぶ」という、聞こえはいいけどよくわからない祝日へと変わっていきました。
秋のお彼岸の中日(ちゅうにち)でもあるのが秋分の日ですから、このあたりはなんとなくイメージがしやすいかと思います。
秋分の日の決め方は?いつなのか?
国民の祝日に関する法律において、祝日は往々にして日付が明確に何月何日というのが決まっているものですが、秋分の日に関しては「秋分日」という記述しかありません。なんだか「嫌だから嫌なの!」みたいな理由になっていない理由のように思えます。
しかし、「秋分日」という言葉自体に明確に意味があります。これは天文学の専門用語で、詳細を説明するとかなり長くなってしまいます。
天文学において、「天球上における見かけ上の太陽の通り道」である黄道と、赤道をその天球上に移した天の赤道という考え方があります。これは一年を通しての太陽と地球の関係を視覚で分かりやすくするために便宜上作られたものなので、言葉で説明すると逆にわかりづらくなってしまいます。
黄道と天の赤道の考え方の利点は、地球の公転を視覚で分かりやすくイメージできるところなのですが、これは春分点というものを起点とし、そこから180度正反対に位置するところが秋分点なのです。
つまり、秋分点というのは太陽の周りを回る地球がある一定地点に達した時点で決まります。そのため毎年微妙に違ってくるというわけなんですね。
一年は平年であれば365日として定められていますが、地球の公転周期は一年よりも若干長いため段々ずれが生じてしまうため、その帳尻合わせのために閏年というものが存在します。
秋分点を決めるのにはかなり複雑な計算式があるのですが、それをすべて乗せることは難しいので、2099年まで当てはまるという簡単な計算式を載せておきます。
秋分の日(9月XX日)
= int(23.2488+0.242194*(年-1980)-int((年-1980)/4))
これだけでも素人からしたらよく分からない計算式ですけどね。
こうして算出された秋分点は国立天文台が作成する歴象年表という冊子に記載され、これをもとに閣議決定を経て2月に出される官報に「翌年の秋分の日」がいつなのかが公表され、私たち一般人が秋分の日がいつなのかわかるという経緯をたどります。
まあそのため、この難しい計算式に入れるよりは「秋分の日はいつなのか」ということをその都度確認したほうが早いかもしれません。
冒頭で”2012年から2044年までは閏年は9月22日で平年は9月23日”という風に申し上げましたので、ここ数十年は単純にこれに当てはめれば大丈夫そうです。それ以降は毎年調べたほうがよさそうですね。