「したり顔」という言葉があります。
自分の成し遂げたことに対してほくそ笑む、そんな自画自賛の意味を込められた言葉ですね。
とはいえ日常生活において他人の顔をまじまじと見るということはそれほどありません。それよりは、どちらかというとテレビに出ている芸能人に対して「したり顔」をしているところを見ることが多いんじゃないでしょうか。
そもそも、テレビのバラエティ番組といういわゆる一種の「プロレス」の中だからこそ「したり顔をするな!」と公言することで笑いにつながったりもするわけですが、日常生活においてはこんなことを言えば人間関係に亀裂が生まれかねません。
「したり顔」で検索すると、もれなく「くりぃむしちゅー 上田」という関連ワードが出てきましたので、彼が得意のツッコミをした後に「したり顔」をしているのが気に入らないという視聴者が一定数存在するのでしょうね。
さて、そんなくりぃむしちゅー上田さんのツッコミの後の「したり顔」に関しては、「ドヤ顔」と言い換えることもできますよね。
したり顔とドヤ顔、似たような意味で使われることが多いですがこの二つにはどのような意味の違いがあるのでしょうか?
こちらではしたり顔の本当の意味と「ドヤ顔」との違いについてお伝えしていきたいと思います。
したり顔の「したり」の意味とは?
したり顔の「したり」というのは、元々は「○○をする」という意味の「為(す)」という言葉です。
この「為(す)」に助動詞の「たり」を付けた言葉が「したり」というものになります。
「たり」というのは古文でも少し出てきましたが「~してしまった」という動作の完了を意味します。
もっと分かりやすく「したり」を説明するなら「やってやったぜ!」という意味になりますね。英語でも「I did it!」という表現がありますのでこれに近い意味でしょう。
つまりしたり顔というのは「やってやったぜ顔」ということになり、物事が自分の思い通りになった時の得意そうな、自慢げな顔つきのことを指します。
ドヤ顔の意味としたり顔との違いは
対して、ドヤ顔というのは元々は関西で使われていた表現です。
標準語で言う「どう?」とか「どうだ?」といったものを関西弁に言い換えると「どや?」という風になりますが、自らの成し遂げたことに対して周りに「どや?見たか?すごいやろ?」と確認するかのような顔をしているのを「ドヤ顔」と言ったんですね。
今では「ドヤ顔」は標準語として広まりつつあります。なのでしたり顔とドヤ顔は日本語の中に混在していますが、得意げな顔をする様を表す言葉としてはほぼ同じ意味になります。
単にアプローチの側面が異なるというだけの話ですね。
ただ若干、受け取り手のニュアンスは異なるように思えます。
「ドヤ顔」はテレビのバラエティ番組などでもよく使われることが多いので割とカジュアルでポップな印象を受けますが「したり顔」となるとドヤ顔よりも陰湿さが増し、陰口の要素が強くなるでしょうね。