蜃気楼とは?その意味や原理とは?語源は巨大ハマグリと竜?

「蜃気楼」という現象がありますね。

砂漠 蜃気楼

本来は、気候などの要因によって見えないものが見えたりする現象なのですが、現代において「蜃気楼」というのは主に楽曲において「人の心が不明瞭な様」を表す比喩として使われているのをよく目にしたりします。

なので本物の「蜃気楼」というものにお目にかかることはあまりないものですが、そもそもこの蜃気楼という言葉にはどのような意味や由来があるのでしょうか?気になったので蜃気楼とは何なのか?その意味などについて調べてみることにしました。

蜃気楼の原理とは

蜃気楼というのは海上や砂漠でよく起こるものなので、陸の都市部に暮らす多くの人々にとってはなかなかお目にかかれないものです。

私たちが何か物を目で見る時に、光を信号として受け取っているというのは周知のとおりですが、この光というものは「同じ密度」の中を進む際にはまっすぐ進む者の、「異なる密度」の物質に当たると「屈折」や「反射」を起こします。

分かりやすい例で言えば「空気」と「水」でしょう。空気中を進んでいた光が「水」という密度の異なる物質に当たることで反射を起こし、その一部が陸上にいる私たちの目に届いてまぶしく感じるというわけです。

砂漠 蜃気楼

これと同じ原理の現象を「密度の異なる空気」が二つ存在することによって引き起こすのが蜃気楼というものになります。

密度の異なる空気というのは、もう少しわかりやすく言うならば「温度が異なる空気」と言うことが出来ます。温度が上がれば分子の活動が活発化し、膨張して体積が増える代わりに密度が小さくなるというのはおわかりでしょう。つまり空気と空気の寒暖差が出来ているところに蜃気楼は発生するのです。

これは例えば、
①上層に暖かい空気、下層に冷たい空気が出来るもの
②上層に冷たい空気。下層に暖かい空気が出来るもの
③横方向に暖かい空気と冷たい空気の境目が出来るもの

というふうに、3つのケースが考えられるのですが蜃気楼の種類もそれに伴って三種類あり、幻も上方に出てきたり下方に出てきたり、側方に出てきたりという違いを生み出しています。

具体的な例で言うと、例えば砂漠というのは日中は太陽光によって砂が暖められ熱を帯びていますが、これにより地表近くの空気と、その上層の空気で寒暖差が生まれて蜃気楼が発生します。

逆に、海上では海水近くの空気が冷やされ、その上層の空気の方が暖かくなるという寒暖差により蜃気楼が発生します。

日本では前者のほうの蜃気楼のほうがよく見られます。これはアスファルトが照り付けられることで熱を帯び、砂漠と同じような環境が出来上がるためです。その具体例として言われているのが「逃げ水」という現象です。

逃げ水

まるで地面に水たまりが出来ているように見えるこの逃げ水ですが、そこにたどり着こうと近づいても一向に水たまりなどありません。追えども追えども逃げていくので「逃げ水」というわけですね。砂漠でオアシスの幻を見て追いかけてしまうという正ににあれです。

蜃気楼の意味・由来・語源

蜃気楼の原理については何となくお分かりいただけたと思いますが、もう一つ解せないのは「蜃気楼」という名前そのものの意味や由来についてです。

「蜃」「気」「楼」にはその漢字一つ一つに意味が込められております。

「蜃」というのは中国や日本の文献に出てくる伝説の生き物。それが吐き出す息によって高い建物を形成するとされております。

「気」が息、「楼」が建物というわけです。気体という言葉や摩天楼という言葉からも、なんとなくわかるでしょう。

では「蜃」というのがどのような生き物なのかというと、これには二つの説があります。

①巨大なハマグリ説

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これは中国の古書「彙苑」や「史記」などに記されているもので、日本でもその史記を由来として江戸時代に描かれた妖怪画集「今昔百鬼拾遺」において巨大ハマグリとして紹介されております。

②竜の一種説

シェンロン

これは中国の本草書「本草綱目」、日本においては宝永年間の本草書「大和本草」に記述されています。

いずれにしても、「蜃」という漢字は日本では蜃気楼以外に使うことがなく、その意味から考察することはかなわないため、この説をこれ以上探ることはできません。

中国といえば龍がよく出てくるようなイメージですから、こちらのほうがそれっぽい気がしますね。逆に、ハマグリが出てくる話というのはあまり聞いたことがありません。唐突に出てきたからこそその真実味が大きいような気がしないでもないですが・・

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