秋の大型連休として定着しているシルバーウィーク。
5月の大型連休・ゴールデンウィークは昔からずっと聞いたことのある単語でしたが、シルバーウィークってなんかつい最近になって急に出てきた単語だなあと思いませんか?
まあ、休みが増えてくれるなら別にそんなことはどうでもいいという人がほとんどかもしれませんが、一体いつからシルバーウィークは始まったのか、その由来・意味・語源など気になったので調べてみました。
シルバーウィークの歴史・由来
意外にもシルバーウィークの歴史は古く、1951年にまで遡ります。
しかし、現在のような9月後半の連休とは性格が異なり、映画業界の宣伝文句として生まれました。
そもそも、5月初頭の連休であるゴールデンウィークの由来というのも元々は映画業界によって生まれたものなのです。
1951年、「自由学校」という映画が公開されたのですが、松竹と大映の二大映画製作会社が同じ名前の映画を別々に製作し、しかも5月初旬の連休に同時に公開しました。
この映画はどちらも大ヒットを記録し、それまで正月かお盆にしか大ヒット映画は出ない、と言われていたところに5月初旬に大ヒットというのは映画界が活気づきました。
公開から好成績を記録したということで、大映の専務取締役だった松山英夫氏が「輝かしい一週間」としてこの期間を「ゴールデンウィーク」と呼びました。いわば、自社映画の自画自賛というのがゴールデンウィークの由来なわけですね。
確かにゴールデンウィークって何となく煌びやかさが強すぎるというか、商業的な匂いがする名前でしたよね。少なくとも役所が決めたわけではなさそうだ、ということは薄々思っていましたが。
映画のヒットも相まって、ほかのレジャー産業の宣伝文句としても普及していき、現在のように完全に定着するまでに至りました。
そしてその同じ年(1951年)に、大映の専務取締役から社長へと昇格した松山英夫氏が11月3日の文化の日を中心とした一週間をゴールデンウィークと対比して「シルバーウィーク」と名付け、さらなる映画業界の活性化を目論んだのですが失敗に終わり、シルバーウィークも忘れ去られてしまいます。
まあ、ゴールデンウィークは「自由学校」というヒット映画が軸にあったのですが、シルバーウィークはゴールデンウィークにあやかっただけのいわば2番煎じ。中身がなければ業績が伴わないのは当然のことですね。ゴールデンウィークの調子が良くてそれに乗っかろうとした結果でしょう。
しかしその1951年の映画業界の失敗から半世紀以上経過した2009年に、思わぬ形でシルバーウィークは復活しました。
それはハッピーマンデー制度によるものです。
ハッピーマンデーというのは、祝日を毎年特定の日に定めるのではなく「9月第三月曜日」などのように、祝日が必ず土日と合わせて3連休になるために便宜上ずらすという制度で、2000年から成人の日、体育の日が、2003年から海の日、敬老の日がハッピーマンデー制度の適用がされました。
こうすることで、上記4つの祝日は必ず土日と合わせて3連休になりますね。
しかしシルバーウィークと呼ばれる大型連休は、特定の条件が重なって4連休以上の連休ができる可能性のある9月のにみやってきます。
9月の祝日というと敬老の日と秋分の日があります。敬老の日は上記にあるようにハッピーマンデー制度が適用され、「9月第三月曜日」となっておりますが、秋分の日というのはかなり特殊な決め方をしていて9月22日か9月23日のどちらかにやってきます。
この敬老の日と秋分の日が連続するような場合にのみ、土日と合わせた4連休となってシルバーウィークがやってきます。あるいは、敬老の日と秋分の日に平日が挟まれるような場合に、祝日に挟まれた平日は「国民の休日」となって5連休がやってきます。
いつからシルバーウィークが始まるのかというと、敬老の日からということになりますね。
これまでに2009年、2015年の2回にわたり
9月19日(土)-9月20日(日)-9月21日(月-敬老の日)-9月22日(国民の休日)-9月23日(秋分の日)
という5連休のシルバーウィークがやってきました。
次にシルバーウィークがやってくるのは2026年、2032年です。
シルバーウィークの意味
シルバーウィークは「敬老の日」を起点として始まるため、「老人のための休みの週間」と思われがちですがこれは誤りです。
そもそもシルバーという言葉に「老人」というような意味はありません。なせ「シルバー=老人」という解釈が定着したのかというと、昔国鉄が50歳以上の夫婦に「シルバー周遊券」というのを販売していたことからきています。
50歳以上の夫婦というのは、結婚25周年を意味する「銀婚」にもなる年であり、そこからシルバーを取ったのです。そこから波及してお年寄り専用席を設けて「シルバーシート」と呼んだりして定着していきました。
お年寄りに白髪が多いことからもイメージ的にシルバーというのは合うのでしょうね。
ちなみに、「老人週間」というのはシルバーウィークとは別に存在します。
まあ、上記のシルバーウィークの歴史・由来を鑑みれば老人からきているものではないことはお分かりですね。
このシルバーウィークという名前は2008年11月に三菱ビルテクノサービスが「2009年9月の連休に名前をつけるとすれば?」というアンケートを実施した所「シルバーウィーク」が1位となったことから名づけられました。
ゴールデンウィークは毎年やってきますが、秋の大型連休は数年置きにしかやってきません。その希少さからプラチナウィーク(白金週間)と呼んだりもしますね。
実際、金とプラチナというのはプラチナのほうが希少価値が高いのでこちらのほうが意味としても通じるところはあります。ただ、「金」といったらその対比は「銀」のほうが分かりやすいので、シルバーウィークのほうが一般に定着しているのでしょう。それはアンケートの結果からしてもそうですね。