夏の風物詩と言ったら
うるさいくらいにあちこちで鳴いている
セミですね。
そしてセミはよく「寿命が一週間」と言われるように
短命で儚い虫というイメージが強いですが
実は、これ嘘なんです。
実際にはセミの寿命は一週間よりも長く
1ヶ月以上も生き続けます。
なぜセミの寿命は一週間と
言われるようになったのでしょうか?
まず、セミが卵から成虫になるまでを
たどっていきましょう。
まずメスのセミが木に穴を空けて
卵を産み付けると、卵のまま越冬し
翌年の梅雨頃に孵化します。
そして孵化した幼虫は柔らかい土の
上へと落ちて自ら地中へと潜っていきます。
そして地中で過ごす期間は種類によって
異なり、短いもので3年、長いものになると
なんと17年もの間地中で生き続けます。
そしてやがて羽化の時期を迎えると
幼虫は日没後に羽化を始め、成功
すれば見事に成虫のセミになる
というわけです。
そしてそこからの寿命が一週間と
言われておりますがこれは俗説で
実際には無事ならば一ヶ月ほど
生き続けます。
ではなぜ、セミの寿命が一週間と
言われているのでしょうか?
実は暑さに弱いセミ
夏の代名詞とも言えるセミが鳴いている
のを見ると
「暑いのに元気でいいな~」
と思うことが一度はあったと思いますが
実は意外なことに、セミは暑さが苦手
なのです。
そもそも昆虫全般に言えることなのですが
暑さが苦手で、セミも例外ではありません。
セミの種類によって活動時間に
違いがあり、夕方に活動し始める
ヒグラシが暑さに弱いのは当然ですが
真っ昼間からジリジリとうるさい、セミの
代表と言えるアブラゼミですら、実は
高温に弱いのです。
確かに、セミってよく見ると日陰に
なるような場所に止まって
暑さ対策をしっかりしていますよね。
セミが地面に仰向けに落ちてしまうと
起き上がれず太陽の光を浴び続け
なんと1時間程度で死んでしまうそうです。
よく地面に仰向けに倒れているセミが
いますが、あれは何かの拍子で
落ちて太陽を浴びて続けてしまった
セミなのでしょうね。
ちなみに、そうやって本当に死んでいる
セミもいますが、たまに実は生きていて
突然鳴き出して驚くってことありますよね。
実は仰向けのセミが生きているか死んでいるか
は足の開き方で見分けがつくそうです。
そうすると不思議に思うのは
「夏が苦手なのになぜ夏に羽化するのか?」
ということです。
これについては調べたのですが
いまいちはっきりした理由がわかっていません。
一番もっともらしいと思ったのは
セミは変温動物で自分の体温が
外気温によって左右されるため
ある程度の暑さが必要なのだろう
という説です。
しかし、それならば夏ではなく
もう少し気温が落ち着いている
春や秋のほうがいいのでは?という
気もしますが・・・
実際、秋ごろに羽化したセミは
1ヶ月~2ヶ月ほど長生きしたという
ことも観察されているようです。
だとするとなおさら、夏に羽化する
のは謎ですね。
これに関しては、そもそも、セミがなぜ
地上に出てくるのかということ自体も
まだ解明されていない
ようなので、何ともいえませんね。
そしてセミは暑さに弱いというだけ
ではありません。
セミには天敵がおり
自分たちを捕食する鳥やカマキリ、また
面白半分に捕獲しようとする我々人間です。
捕食されれば命を断たれるのは
言わずもがなですが、我々人間も
興味本位で捕まえようとしますね。
木の樹液を主食とするセミの成虫を
飼育することは非常に困難で、下手を
すると捕獲した翌日にはもう死んで
しまっているということも珍しくありません。
また、そういった天敵に襲われた際に
毒を出すなどの身を守る術を持たない
ことも本来の寿命を全うできない原因
であると思われます。
こうした様々な原因によって本来の
寿命よりも短くなってしまって
「セミの寿命は一週間」
と言われる理由になったのでしょう。