さんまって漢字で書くと秋刀魚ですよね。
魚っていうと、鮪、鱈、鯖・・・みたいに魚へんに何かをくっつけて読ませることが多いのに、このさんまだけすごく特殊ですよね。
本当は、さんまを漢字一文字で表す事もできるのではないか・・・?
魚へんに秋、と書けばさんまと読むのではないか・・・?
と疑問に思った方もいらっしゃると思いますので、今回はその話をしていきましょう。
さんまの音の由来って?
さんまを漢字で書くと「秋刀魚」。秋の刀の魚というわけですが、この漢字の由来って一体何なんでしょうか?
まあ漢字一文字の物が多い他の種類の魚と比べると個性が光るので、見てすぐに「さんま」だとわかるという利点がありますが・・・考えてみれば「秋」を「さ」と読むことも「刀」を「ん」と読むことも、ましてや「魚」を「ま」と読むことも全くないですよね。
さんまは学名だと「サイラ」と呼ぶそうです。さんまに近いような、それほどでもないような。ただ、これはあまり本来の由来とは関係ない話。
由来の1つとして言われているのは、さんまの古い呼称に「サマナ(狭真魚)」というものがあり、そこから来ているのだというもの。体が細長いことからこういった漢字が付けられたのだとか。
もう1つ言われている由来は、その大群をなして泳ぐ姿がから大きな群れを意味する「サワ(沢)」と魚を意味する「マ」を合わせて「サワンマ」という言葉になり、そこから転じてサンマになったというもの。
秋刀魚と表記されるようになった由来は?
サマナにしてもサワンマにしても、訛ってさんまへと変化したというのは話として不自然ではありませんね。読みやすい方に勝手に変えたとか、他意はないものの間違えて読んでしまってそれが定着したというのは日本語の世界ではよくある話。
問題は「秋刀魚」という全くさんまとは読めない当て字のほうですね。
じゃあこの「秋刀魚」表記は誰がどのように言ったのでしょうか?
まずサマナとかサワンマからはっきりと「サンマ」という読み方になったのは1906年(明治39年)夏目漱石の「吾輩は猫である」が初です。
この中に「三馬」とハッキリ表記しているのだとか。これは完全にサンマですね。なぜ夏目漱石が「三馬」という漢字を使ったのかは分かりませんが、夏目漱石は元々、当て字を頻繁に使ったのだそうです。特にデビュー作である「吾輩は猫である」においては
・可笑しい
・矢張り
・成程
・折角
・兎に角
などなど、夏目漱石が当て字に使った言葉は他にもたくさんあります。もしかしたら読み物としての面白さを追求していたのかもしれませんね。「三馬」というのはその1つです。
こうして「サンマ」の読みが定着したのですが、「秋刀魚」という漢字の表記になったのは大正10年、作家で詩人の佐藤春夫さんが発表した『秋刀魚の歌』というものが全国に広まったことが由来になっています。
これは読んで字のごとし
・秋によく捕れること
・細長い銀色の体が刀を連想させること
・魚であること
ということが「秋にとれる刀のような魚」で秋刀魚、というわけです。まあこれはそのまんまって感じですね。
魚へんに秋ってなんて読むのか?
さんまを漢字一文字で表すなら「魚へんに秋」が正しく適当ですが、魚へんに秋って実際にはなんて読むのでしょうか?
これは鰍(かじか)と読むのだそうです。さんまではないですね。
鰍(かじか)はゴリとも呼ばれる魚ですが、これの漁というのが網で強引に引っ張るというもので「ゴリ押し」の語源にもなったとされています。