魚というのは大抵、「魚へんに○○」という形で漢字一文字に収まる形になっていますよね。
そしてこれは春夏秋冬でもそれぞれ種類があります。
魚へんに春、魚へんに夏、魚へんに秋、魚へんに冬・・・
しかし、実はこの中に一つだけ仲間はずれがいます。それは「魚へんに夏」の漢字。
他の3つのものは漢字一文字で表せるのに対して、「魚へんに夏」を表すのは「魚+夏」というそのまんま2文字で魚の名前を表します。
じゃあこの「魚+夏」の漢字の読み方はなんというものなのでしょうか?
「魚+夏」の漢字の読み方は「わかし」と言います。
なんだか若そうな魚なのかな?と思いつつも実はその通りで、この「わかし」というのはブリの稚魚のことを指しているのです。
元々ブリは出世魚で、ブリの前はわらざ、はまち(いなだ)、そして「魚+夏」のわかしが続きます。
わかし → はまち →わらざ → ブリ
といった感じですね。
そして「魚夏」の由来ですが、初夏に捕れることからこういった漢字のつくりにしたんだとか。
実は「魚へんに夏」の漢字もある?
わかしの話をしてきましたが、実は「魚へんに夏」という漢字一文字だとまた違うものを指す言葉になるのです。
しかし、この「魚へんに夏」の漢字というのは変換が出来ません。
あわびといえば「鮑」、ふぐといえば「河豚」ですよね。
しかもこの二つって別に共通点もない、全く別の生物なのですが同じ漢字を使うのだとか。
正確にはこの「魚へんに夏」の字は「漢字」ではなく「国字」と言うそうです。つまり、漢(中国)由来の字なのではなく、日本国で作られた字のこと。
しかし、面白いことに気づきました。試しに「あわび」「ふぐ」というふうにキーボードで叩いて変換してみてください。
「鰒」という漢字が出てくるのがわかると思います。
実はこの「鰒」という字をよく見ると「魚へんに夏」にはなっていません。なんと言って表現するのかわかりませんが、復讐の「復」の右側にあるやつですよね。
魚へんに夏ではなく「鰒」なのは、単に書き間違えからこういう風になっていったのではないか?とも言われていますね。
アワビは確かに、夏を旬とする貝ですから、本来「魚へんに夏」という漢字であっても不思議ではありません。
一方、ふぐのほうは旬が11月~2月という寒い時期にはなっていますが・・・実は江戸時代では「夏こそふぐ」という夏にふぐを食べる文化が生まれていたのだそうです。
となれば国字である「魚へんに夏」を「ふぐ」としたのも不思議ではないような気もしますね。