「最初はグー!」
じゃんけんをする時にはこの掛け声をすることが多いですよね。
「ジャーンケーンポン!」でもいいのですが、これだけですとお互いのリズムが合わなくて先出し・後出しの有利不利が生じてしまうために一度この掛け声で間を取ってから本番に望む、というような使い方をしますね。
まあ、そこまで大真面目に考えなくてもなんとな~く「最初はグー!」をやっていた人も多いでしょう。しかしよく考えてみると不思議なもので、確かにリズムを取るうえで便利なものの、いったい誰が考案したのか?なぜ「最初はチョキ」でも「最初はパー」でもなく最初はグーなのでしょうか?
ちょっと気になったので由来について調べてみることにしました。
最初はグー!の由来
実は、最初にこの「最初はグー」を披露したのはザ・ドリフターズの志村けんさんでした。
ドリフといえば「8時だョ!全員集合」というTBSのお化け番組が有名ですが、こちらの番組において現場でじゃんけんをするときに大人数だとタイミングが合わなかったため「最初はグー」を挟むことでタイミングを計ったのです。
元々は、番組収録後の飲み会において支払いを誰がするかジャンケンで決めようとしたものの酔っぱらっていてタイミングがつかめなかったことからこの掛け声を使っていたんだそうです。それを現場でも使っていたんですね。
ここまでがオフレコの話です。この最初はグー!というのは、同番組での「じゃんけん決闘」という志村けんさんと仲本工事さんがじゃんけん対決をするコーナーにおいて使われたことをきっかけに、全国的に広まっていくことになりました。
なにしろ、「8時だョ!全員集合」の全盛期というのは40%以上の視聴率をたたき出し、最高で50%を超えるという人気ぶりです。紅白歌合戦もびっくりの視聴率ですよね。日本国民のほぼ半数がこの番組を見ていたわけで、そちらで頻繁に使われたものですから広まっていったのも当然の話です。
さらに最初はグー!が発展して「最初はグー!またまたグー!いかりや長介頭がパー!正義は勝つ!ジャケンポン!」という風になりました。
ただ、これもやはり全国的な影響が大きかったため保護者から「前置きが長すぎる」とか「乱暴だ」という文句が入って結局最初はグー!だけに戻ったのだとか。
ちなみに、「最初はグー!」については志村けんさんは著作権は所有していないそうです。まあ、著作権フリーの無断転載可能だったからこそ、ドリフを見ていた全国の子供たちに使われて広まっていったのですけどね。
どうもこの話がさらに飛躍して、じゃんけんそのものを志村けんさんが考えたという風に言われているようですがこれはさすがに違います。
最初はグー!を利用したジャンケン必勝法?
この最初はグー!という掛け声は、リズムをとるだけではなく実はじゃんけんの公平性を保つという役割をも果たしています。
というのも、人間というのは緊張をすると体に力が入り、手をググッと握った形のグーを出しやすくなるのです。「手に汗握る」という言葉からもわかる通り、緊張すると手を握るのが人間なのです。
つまりどういうことなのかというと、何の前置きもなくいきなり「じゃんけんぽん!」という風に始めた場合は、「グー」を出す確率が高いということなのです。
手は握っているのが基本の形なので、チョキやパーの形を瞬間的に出そうという人が少ないのですね。なので、最初はチョキでも最初はパーでもないのは理に適っていると言えるでしょう。
これにかこつけた「じゃんけん必勝法」なるものもあります。それは、「これに負けたらおごりだよ~いくぞ!」といった具合に緊張感を煽り、いきなりじゃんけんぽん!と言って畳みかけるように自分はパーを出すというものです。そうすればリズムが取れず緊張感を煽られた相手は「グー」を出してしまう確率が高まるというわけなんですね。
これに「最初はグー!」というフレーズでワンクッション置いてからじゃんけんをすると、相手はリズムをとりやすくなり、また「連続でグーを出すこと」を嫌ってグーを出す確率が低くなる、もっと言えばグーチョキパーの割合が分散するということですね。
これはじゃんけんの公平性を保つということで非常にフェアだと思いますが、「絶対に負けられない」じゃんけんをするなら「最初はグー!」という掛け声はみすみす勝つ確率を低めるため愚かな行為と言えます。
絶対に勝ちたい!というときは畳みかけるように自分のペースでじゃんけんをし、「最初はグー!」は使わないことですね。幸い、「最初はグー!」というリズムを刷り込まれている分、それをあえて使わないことで相手のリズムを狂わせる、ということも期待できます。
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