日常会話だけでなく、ことわざや慣用句にも良く使用される鬼という言葉。
身近な単語の一つですが、今やその意味も使い方も様々です。
今回は鬼の意味・由来・語源を徹底解説します。また、節分(豆まき)と鬼の由来なども詳しく説明します。
鬼の意味とは。鬼とは何か。
「鬼」という言葉は複数の意味を持っています。
1つ目は、空想上の怪物のことです。頭に1本または2本の角を生やし、口には牙、腰にはトラ柄の褌を締めた姿で描かれることが多いです。
鬼は一般的に、邪悪で人に害をもたらすものとされています。こうした鬼の性質やイメージから、冷酷な人や残酷な人のことを「鬼のような人」などと表現することがあります。また、「鬼コーチ」や「鬼嫁」など、役職名の前に付けることで、怖い人や厳しい人という意味も持ちます。
2つ目の意味は、常識的には理解できないほど、特定の物事に打ち込む人のことです。
「仕事の鬼」や「勉強の鬼」などの形で使われます。高い功績を持つも、自分だけでなく周りの人にも厳しく、非情な人物像を彷彿とさせることも少なくありません。
3つ目は若者言葉で、形容詞の前につけることで、後の言葉を強調する意味を持ちます。
たとえば「鬼ヤバイ」や「鬼カワイイ」などと使用します。「とても」や「超」など、程度を表す言葉の中でも、最上級の意味で使われる傾向があります。
このように、元々は怪物のことを指していた「鬼」という言葉は、「強い」、「怖い」という鬼のイメージから、現在では別のものを表現する言葉としても、幅広く使用されています。
では、私たちの身近な言葉の1つである「鬼」とは、そもそもどのようにしてできたのでしょうか? その由来・語源も調査してみました。
鬼の由来・語源とは
鬼の由来・語源は諸説あり、最も有力なものは「隱(おん)」という言葉から転じたとされる説です。
昔は怨霊や魔物のことを「醜(しこ)」や「物(もの)」と言っており、このことから鬼という字も「しこ」、「もの」と読まれていました。
読みが変わったのは平安時代と考えられています。目に見えないこの世ならざる存在のことを「隱(おん)」といい、この言葉が転じて「おに」と読むようになったとされています。
ちなみに、この時点では鬼は人知を超えた存在ではありますが、その姿は明確になっていません。角と牙を持ち、トラ柄の褌を締めた今の鬼のイメージは、実は仏教から来ています。
仏教では地獄に鬼がいると考えられており、それが前述のような格好をしていたそうです。この鬼のイメージが、節分や桃太郎などに登場するようになり、一般的になったと言えます。
節分(豆まき)と鬼の由来。赤鬼、青鬼、黄鬼、緑鬼、黒鬼の違い。
季節の変わり目である節分は、邪気を払う日とされています。
このことから、悪いものの象徴である鬼に豆をぶつけ追い払うことで、家内安全や無病息災を祈る行事が行われるようになりました。これが、節分に行う「豆まき」です。
一般的に、豆をまかれるのは赤鬼や青鬼が多いですが、実は他にも黄鬼(または白鬼)、緑鬼、黒鬼が存在します。
この五色の鬼は、仏教の五蓋(ごがい)を表しています。五蓋とは、修行を邪魔する5つの煩悩のことです。
赤は貪欲(とんよく)といい、渇望や欲望を表します。
青は瞋恚(しんに)といい、怒りや憎しみを表します。
黄(白)は掉挙悪作(じょうこおさ)といい、心の浮動や後悔を表します。
緑は昏沈睡眠(こんじんすいめん)といい、倦怠や眠気を表します。
黒は疑(ぎ)といい、疑心を表します。
豆まきの際には、自分が追い払いたい煩悩の鬼に豆をまくと良いとされています。
まとめ
さて、鬼という言葉について解説してみました。
意外と知らないこともあったのではないでしょうか。
今や様々な意味を持つ「鬼」ですが、その語源や正しい使い方を知って、間違った日本語にならないよう使っていきたいですね。
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