「折しも」「折から」という言葉があります。
「折からの雨で・・・」
「折しも強風が吹き荒れる」
といった使い方をするように、どちらもその時ちょうど何かが起こった際に使う言葉になっていますね。
この言葉に共通する「折」という言葉ですが、普通に読めば「折る」といった動作を表す言葉であり、「時」を意味する言葉としてあまりイメージがわきませんね。
しかし、「その折」という使い方をするように、どうやら時を意味する言葉として存在しているようです。
ということで、ここでは「折しも」「折から」さらには「折」とはいったいどんな意味が込められているのか?その由来についてお伝えしていきたいと思います。
その折の意味とは
「折る」という言葉から連想されるのは折り紙のように何かに折り目を付けるということですが、この「折る」という行為をもっと広い意味で見るならば「わかりやすいように区切りをつける」ということになるでしょう。その折った部分から面が変わるということですからね。
そこから考えると「折」という言葉がある区切られた時点や節目という風に捉えることができますね。ここから転じて
「折を見て伺います」
「寒さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか」
という風に時を意味する言葉として使われていったのです。
似たような言葉に「節」があります。こちらも物事の区切りを示しており、「その節はありがとうございました」「その折はありがとうございました」とどちらも自然な形で表現することができます。
折からの意味とは
「折」から転じた「折から」「折しも」という言葉には単に「時」ではなく「ちょうどその時の」という意味が込められます。
まず「折から」についてですが、これは「~から~まで」の「から」ではなく、漢字で書くと「折柄」という風になります。
「柄」という言葉には様々な意味が込められておりますが、この場合の「柄」は「それに相応して」という接尾語の意味を持ちます。例えば「仕事柄」ならば「その仕事に相応して」という風になりますし、「季節柄」ならば「その季節に相応して」といった具合ですね。
「おりがら」ではなく「おりから」と読むという注意は必要ですが、「折柄」は「その時に相応して」という意味になり、意訳すれば「ちょうどその時の」という意味になるというわけです。「時節柄」という言葉が構成も意味もかなり近いでしょうね。
折しもの意味とは
最後に「折しも」という言葉ですが、これは「折から」と同じ意味で「ちょうどその時」という風になります。じゃあ「しも」とはいったいどういう意味なのかというと、この言葉には特に意味はなく「し」も「も」も単に強調するための助詞にすぎません。
「時」を強調して「ちょうどその時の」という意味になるわけですね。これが一番わかりづらいかもしれません。