「そんなつもりは毛頭ない」
というように、文章を強く否定する意味で使われることが多い「毛頭ない」という表現がありますね。
この「毛頭ない」という表現は、考えてみれば「毛」に関してコンプレックスのある人が聞いたら何か煮え切らぬものを抱えそうな言葉ではあります。
とはいえ、そういった毛にコンプレックスがある人たちが真っ先に気にするワードは「毛根」のほうです。この「毛頭」は、毛根とは対になっているように思えますが本当はどういう意味があるのでしょうか?
こちらでは「毛頭」「毛頭ない」の本当の意味についてお伝えしていきたいと思います。
毛頭・毛頭ないの意味とは?
「毛頭」という言葉には「毛の生えた頭」というそのままの意味もありますが、この「毛頭ない」という表現においてはこの意味では使われておりません。
この場合の毛頭というのは毛の頭とか毛の先、という意味で使われているのです。つまり毛の根っこを意味する「毛根」と正反対ということですね。
さて、「毛」と聞いた時に皆さんがイメージするのはきっと、根元の部分が太くしっかりしていて先の方に行くほど貧弱で細くなっている様ではないでしょうか。
それが健康な毛なのかそうでないのかはともかくとして、少なくとも先端の部分は毛の「終わり」なわけですからそこが一番細くなっているのは確かでしょう。
つまり毛頭というのはこういった毛の先の貧弱さを意味していて、毛の先ほどの余地(可能性)もない、少しもない、全くないという強い否定の意味で「毛頭ない」という表現を使うのです。
そしてこれはその人の気持ちや意思を示す際に使われることが主で、物理的に存在していないという意味で「金が毛頭ない」とか「休みが毛頭ない」という表現は使いません。
「金が毛頭ない」はどこかおかしな表現として聞こえてしまいますが、日本語というのは不思議なもので、「金がない」の強い表現として「金が全くない」というのは特に違和感がありませんね。
本来の言葉の意味よりも、今までどのような表現を目の当たりにしたかという「慣習」という要素が私たちの言葉を形作っているということなのでしょう。
この「毛頭ない」は毛の薄い人にとっては敏感なキーワードであることは否めないのですが、何もこれは髪が薄い人のことを言っているのではなく、例え髪がふさふさしている人であっても一本の毛に注目すれば先細っているはずであり、単にその様を表しているにすぎません。
最も、その毛が一本もないんだから先細っていてもある分マシじゃないか、と言われてしまえばそれまでなのですが・・・