とりわけ女性の活躍が注目されている安倍内閣にあって、唯一の40台での入閣となっている丸川珠代「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当国務大臣」。
正式な役職はこのように長ったらしいものなのですが、こちらからは簡略化して「五輪相」としておきましょう。
元女子アナという経歴から、今をときめく東京都知事の小池百合子氏の後釜として彼女も期待されているところですが、どういうわけか丸川珠代氏のことを「嫌い」という風に思う人が少なからず存在しているようなのです。
そもそも「女性」という時点で「嫌い」という風に思われてしまう不利な事情はどうしても存在します。建前では「男女平等」を謳っているとはいえ、まだまだ男社会は根強く、何かにつけて男性優位にはなっています。
特に女性というのはちょっとしたことで同性からの評価が悪くなるし、男性からしても「自分より優秀そうな女性」というのが鼻についてしまいます。長らく「男性が優位であるべき」という風潮に使っていた社会からすれば、優秀な女性というのはどうしてもたたかれてしまうものです。
東大出身でかつ政治家という肩書を背負った丸川珠代氏が「嫌い」という風に言われてしまうのはある意味、仕方のないことなのかもしれません。
とはいえ、理由なく「嫌い」という風に思うわけでもありません。「なんとなく嫌い」と言う人でも、そう思うきっかけの出来事があるはずですよね。
というわけで、丸川珠代氏がなぜ嫌われてしまうのかというその理由について調べてみることにしました。
丸川珠代氏の経歴
丸川珠代氏は1971年1月19日生まれの兵庫県神戸市出身。
東京大学経済学部を卒業している才女で1993年にテレビ朝日に入社して「女子アナ」となり「TVタックル」「朝まで生テレビ」などに出演しました。
「朝まで生テレビ」の制作に関わるうちに、政治の最前線で戦う人たちを目の当たりにして「このままでいいのだろうか」と疑問を抱くようになり、中でも安倍現首相への傾倒を深めて政治家を志すようになり、2007年の参議院選挙にて初当選し、2016年は参議院議員二期目に入ります。
衆議院議員と参議院議員というのは、予算の先議権や法案の再可決権など「衆議院の優越」が公式に認められていますが、それ以上にもっと感情的な面での違いも存在します。
衆議院には解散があるが、参議院には解散がないので衆議院議員は「解散があるかもしれない」という覚悟を持って臨まなければならないのに対して参議院は一度当選すれば、衆議院議員より任期も長く、長期的に物事に取り組めます。
そのため言い方は悪いですが衆議院議員よりも「好き勝手に」振る舞うことはできるので、強気な発言や失言などをしても「解散がない参議院議員のくせに」という風にどうしても思われてしまうのですね。それは私たち国民だけでなく、国会議員同士の内部のいざこざとしてもあるでしょう。そんな背景も「嫌い」と思われてしまう一因なのかもしれません。
なぜ「嫌い」?これまでの失言・失態
では、丸川珠代氏が「嫌い」と思われてしまう理由を、これまでの失言や失態などから考えていきたいと思います。
投票しようとしたら選挙権がない
2007年参議院議員に立候補した際に、期日前投票をしようと新宿区役所に行ったところ選挙人名簿に登録されておらず選挙権がないことが発覚しました。
これは女子アナ時代にニューヨーク支部に赴任したことが原因のようで、その期間における選挙の6回連続で投票に行っていないことが発覚しました。
これは現職の国会議員であれば問題かもしれませんが、これから国政を目指そうという人のことです。ましてや仕事の事情で投票ができなかったとあれば仕方のないことだと思います。見ようによっては「無投票」という意思表示をしたという風に見れなくもありません。これはちょっと苦しいですけどね。
「この愚か者めが!」ヤジ
民主党政権での「子ども手当」法案の強行採決時に「この愚か者めが!」という発言を飛ばしました。
なかなかに強烈なヤジですね。とはいえ差別的な発言というわけでもなく、ギリギリのところをうまくついていると思います。
とはいえ、これは自民党が政権与党から下野している時代の話です。野党議員というのはある意味「ヤジることが仕事」みたいなところがありますよね。元女子アナということで、メディアがどういう言葉を好むのかというのも知り尽くしていてのこの発言というのもあると思います。
「愚か者めが!」という強烈でわかりやすいキーワードを投げれば、各メディアがこぞってこれを取り上げ、ひいてはそれによって世論を動かすこともできると踏んだのでしょう。実際、数年以上経った今でもこの「愚か者」発言がこうして丸川珠代氏の逸話として語り継がれていますからね。それほどに強烈なワードであったことがうかがえます。
その後気をよくしたのか、本会議においても鳩山由紀夫元首相に対して「ルーピー(愚か)」とヤジを飛ばしたことがありました。
これはワシントン・ポスト紙が鳩山由紀夫元首相のことを評した言葉を元にしたヤジですね。まあ、鳩山由紀夫元首相は確かにルーピーにふさわしい人物でしたが、これを本会議で言ったというのはちょっと品が良くないですね。
「1mmシーベルトは何の根拠もない」発言
2016年2月7日の長野県松本市での講演にて、放射線における日本の長期除染目標である「年間1mmシーベルト以下」について
「なんの科学的根拠もなく時の環境相が決めた」
という風に発言しました。
この発言自体は特に問題がないと思います。これは細野豪志元環境相が決めたものですが、1mmシーベルト自体に根拠はありません。例えば胸部X線コンピュータにかかることで約7mmシーベルトの被曝をするので、1mmシーベルトという数字は「低ければ低いほど国民は安心するだろう」という人気取りのための数値でしかありません。
しかし、これによって批判が高まったことでこの発言について「こういう言い回しはした覚えがない」と白を切り、最終的に謝罪するという二転三転した対応を取ったことでさらに批判が高まってしまいました。
発言が二転三転すると自民党全体、あるいは政治家全体への信用度が低下しますからね。政局を見て謝罪するのが良し、とされたのが原因でしょうが発言がコロコロ変わってしまうのは擁護ができません。
とはいえ、政治家の発言が過去と比べて変わるのはよくあることで、それは丸川珠代氏に限ったことではありません。
結局は、失言や失態などで嫌われたというよりは「何となく嫌い」と思っていた人が丸川珠代氏の失言を見たことでその憎悪を増幅させたというのが正しいと思います。
正直なところ、政治家のスキャンダルや失態って今挙げた丸川珠代氏よりももっとひどいものもありますよね(特に男性)。よほどひどいことをしない限り「嫌い」という感情は湧いてこないと思うのですが、女性というのは不利です。
考えてみれば蓮舫氏、辻本清美氏、福島瑞穂氏など「嫌い」と思われることの多い女性政治家って、共通するのは「私って頭いいでしょ?」みたいな態度や雰囲気がなんとなく嫌われるんだと思います。そこにはどうしても「女のくせにでしゃばるな」という男性優位の考え方が私たちの心に染みついているのでしょうね。
「丸川珠代 目頭切開」というキーワードがあったので調べてみましたが、何の根拠もない噂話のようです。「Yahoo!知恵袋」にて「丸川珠代大臣の目頭切開跡が強烈に痛々しいです」という、質問でもなんでもない下世話な文章が乗っていただけでした。
芸能人を見るとすぐに「整形だ」という風に言う人がいますが、あの類でしょうね。これも「女性であること」が原因の嫌われる理由でしょう。理不尽ですね。