レディーファーストの由来・起源と本当の意味とは?

日本ではあまり馴染みのないものに「レディファースト」という文化がありますね。

レディーファースト

欧米では、紳士が淑女を丁重に扱うものとしてこのレディファーストは知られております。

レディーファーストの例としては

・女性が通るときにドアを開いてあげる
・電車、エレベーターで女性を自分の前に通す

といった具合でしょうか。単純に日本にレディーファーストが浸透していないということも理由の一つでしょうが、「察する」「空気を読む」という独自の価値観を持っている日本人にはなかなかなじみがないのかもしれません。

要は、純粋な善意から親切をしようとしても「何か裏があるんじゃないか」と勘ぐってしまうんですよね。また、親切にする側としても「『何か裏があるんじゃないか』と思われるんじゃないか」と変に疑ってしまうのです。

とはいえ、たまに帰国子女や留学経験のある女性が「欧米ではレディーファストー~うんたらかんたら」と講釈を垂れて日本人男性をけなすことがありますね。

「ここ日本なんで・・・」と言おうものなら「これだから日本人の男は」と一蹴されることでしょう。

日本においては、ひと昔前なら男尊女卑、今では逆転して女尊男卑でしょうか?こういうものがまかり通っているわけで、ちょっとしたことが不平等感を生んでしまいます。

それは仮に女性を丁重に扱うつもりでやったことでも捉えようによっては女性蔑視につながってしまうわけで、なかなか難しいですよね。

例えば「食事代は男が払うべき」と考える女性もいれば、「男に養われたくない」と考える女性もいます。男女の立場に本当に平等ならば、こういう女性を丁重に扱うという行為にも問題は生じないのかもしれませんが。

さて、日本人男性にとっては比較対象にされる一つの材料とも言うべき厄介な風習のレディーファーストですが、これはどういう起源があって始まったものなのでしょうか?こちらでは、レディーファーストの由来・起源や本来の意味などをお伝えしたいと思います。

レディーファーストの起源と本当の意味とは

よく考えてみて欲しいのですが、「女性を丁重に扱う」というレディーファーストの理念そのものは良いとしても、なぜ「女性を先に」通すのでしょうか?女性を丁重に扱うことが、イコール女性を先に通すことにはならないですよね。

実は、そもそものレディーファーストの由来というものが、今考えられているものとは全く正反対のものだったのです。その一つが「女性を盾にするために生まれた」という説です。

レディーファーストは中世ヨーロッパで生まれた習慣なのですが、当時は毒殺や、突然斬り付けられるという事件が多発しておりました。

そこで、女性を食事においては毒見役に、歩いているときには盾に使ったというのがレディーファーストの起源と言われています。

なるほど、確かに扉の向こう側にはどんな輩が待ち伏せしているかわかりませんし、料理には変なものが入っているかもしれませんので一理ありますね。ただ、この説は確証がないので噂の域を出ません。とはいえ、一応辻褄は合うんですよね。

あるいは、欧米の徹底した男性至上主義から生まれた「女性は男性の隷属物である」という考えから、その女性が公共の場で粗相をやらかしたら男性の責任なのでその女性をコントロールするためにレディーファーストの習慣が生まれたという説もあります。

先生(男)が見ててあげるから一人で通しでやってごらんなさい、という具合でしょうか。

さらには、ちょっと汚い話になりますが中世ヨーロッパにおいては下水設備がまだ発達しておらず、糞尿はバケツにためて窓から捨てるということを行っており、これにかかりたくない男性が道の車道側を歩き、女性に歩道側を歩かせたという説もあります。

いずれにしても、今考えられているような女性を丁重に扱うレディーファーストとは正反対の、女性をとことん下に見る姿勢から生まれた、と言えるでしょう。

これがいつしか「男性が女性を丁重に扱う」というものに変化していくわけです。これは受け取り手の女性の気持ちが「エスコートしてもらえてうれしい!」というものに変わっていったのか、男性がそのような意味づけを加えていったのかのでしょうか。

例えば今では車道側を男性が歩くことで事故やひったくりから女性を守るということになりますし、ロングドレスの女性は座ってから椅子を引きにくいので男性が椅子を引いてあげる、などがレディーファーストの例としてありますね。

これは、そもそもの起源としてのレディーファーストではない、新たに加えられた要素と言えるでしょう。

日本人とレディーファースト

レディーファーストの起源が何であれ、大事なのは形式にこだわることではなく、その意味を考えることです。そして、相手のことを思いやるということに他ならないでしょう。

たとえレディーファーストの始まりの本来の意味が毒見や女性を盾にすることだったとしても、女性を気遣うためにレディーファーストをしているというならば、それは本物の紳士です。

そして、女性もそれを当たり前のものとして求めてはいけません。「男性ならレディーファーストしてよ!」という押しつけは自分本位で相手のことを気遣えておらずあまり美しいとは言えません。「淑女」であるならば尚更です。

調べていくとどうも「外国では当たり前なのに日本人はなぜしてくれないの?」と思っている人が多いように思えます。「ここは日本だから」と言うほかありません。

また、レディーファーストの範疇を超えて「重そうな荷物を持っている女性を助けるべき」という論調もありました。これはもはやレディーファーストは全く関係のないことです。

そしてレディーファーストの形式だけを真似して「とりあえずレディーファースト」と、ポリシーも何もなくやっているのはただのアホです。それは異性受けする為のファッション目的に他なりません。

そもそも欧米人にとってのレディーファーストというのは日本人が食事をする前に「いただきます」と言うのと同じように、小さいころから母親からそうするようにしつけられているのでごく自然なこととしてやっているのです。

もっと言えば、条件反射的にレディーファーストをしているので感情がないのです。それは気負わずに自然にできることの裏返しでもあるのですが。

そう考えると、自然のこととして身についていない人が「モテようとして」レディーファーストをすることは何の意味もないのでしょうね。

最悪なのは、「本来のレディーファーストは毒見だから~うんたらかんたら」とウンチクを垂れて批判することです。昔がどうであれ、今、現在はどういう意味があってどういう目的でされているかというのが何よりも重要です。あくまでもこの話は、豆知識として捉えておくに留めておくが賢明でしょう。

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