夏は甲子園の季節です。
そして甲子園でよく見るのが
球児たちが球場の土を
持って帰るあの光景です。
そもそもこの甲子園の土を持ち帰るという
慣習は、1937年の第23回大会で熊本工業の
投手だった川上哲治が持って帰った
のが初まりという説があることは説明しました。
それほど古くからこの慣習は
あるわけですが、今ではなんと
驚くことにこの甲子園の土は販売
されていて買うことが出来るの
だそうです。
甲子園の土って、そもそもグランドに
一般人では簡単に入れませんから
驚きですよね。
というか、そもそもあの土ってどんな土
でどこの土なのか?という疑問が湧いて
きたので、甲子園の土の「土そのもの」に
注目してみたいと思います。
元々、甲子園球場のある
西宮市というのは海から近く
浜辺でよく見られる白砂青松が
多かったそうです。
真っ白くて綺麗な砂ですね。
しかしこの白い砂では、白球が見づらく
野球のグラウンドとしては
適していませんでした。
そこで、黒土とブレンドすることを
思いついたのです。
最初は淡路島の黒土とのブレンド
をしていたようですが現在では
- 岡山県日本原
- 三重県鈴鹿市
- 鹿児島県鹿屋
- 大分県大野郡三重町
- 鳥取県大山
などの黒土をブレンドしてるそうです。
この黒土のブレンドの割合は一定ではなく
その年ごとに決めているそうです。
この中でもとりわけ、鹿児島県の黒土は
きめ細かさと適度な粘り、そして保水力を
持ち合わせていて甲子園の土として
理想的なんだそうですよ。
そして実は砂の方も、
甲子園浜及び香櫨園浜社有地 、
瀬戸内海産の砂浜 ~、
中国福建省の砂と変遷していき
現在は中国福建省の砂を
使用していますね。
黒土のブレンドの割合は毎回異なる
ものの、黒土と砂の比率自体は
春・・・ 土4:砂6
夏・・・ 土6:砂4
という比率になっているようです。
春と夏で比率を変えているのは
春は雨が多いので
水はけの良い砂を多めに、
夏は日差しが強いので
反射で見えづらくならないように
という理由があるのです。
ただ、硬い土と柔らかい砂の比率が違えば
ボールのバウンドの仕方も変わってきます。
この辺りを考慮して守備をしないと
いけないことを考えると、必死で練習して
きた球児たちが本番でエラーをしてしまう
のは緊張だけでなく、春と夏でグラウンドの
状態が異なるという事情もあるのかも
しれませんね。
そもそも、なぜ毎年土や砂を取り寄せて
いるのかというと、当たり前の話ですが
球児たちが持ち帰るとその分だけ
減ってしまいますよね。
この量がなんと毎年約2トンにも
昇るというのです。
これではあっという間に
なくなってしまいますからね。
甲子園の土は販売している?
以前から
「甲子園の土を一般向けに販売してくれ」
という要望は多かったようですが
甲子園球場としてはそういった商品を
売るということはしていませんでした。
球場で売ったら相当な売れ行きな
ものになりそうですけどねえ。
一方、グラウンド整備をする「阪神園芸」
からは甲子園の土と同じ配合の土
を一般向けに販売したことがあった
のですが売れ行きが激しすぎて一般向け
の販売は中止してしまいました。
そして「オーゾネ」というスポーツ用品の
ネット通販サイトでもカプセルに
甲子園の土と配合を同じにしたものを
1つ380円という良心的な価格で販売
していたのですが、こちらも一般向けの
販売は現在ではしていないようです。
とはいえやはり、配合を同じにしたもの
ではなく甲子園球場のグラウンドを
実際に踏み、必死で頑張った時の
土にこそ価値があるのだと思います。
これは、例えば
「イチローが5000本安打を達成した時の
バットと同じメーカーのバット」
に果たして価値があるのかということを
考えてみましょう。
やはり、達成した時に使っていたバット
そのものに価値がありますよね。
まあそもそも、上記のようにどこの土を
使っていることかということが頭にあれば
買うまでもなく自作でブレンドして
「甲子園の土」を作ることも可能と
いえば可能ですね。
自作の「甲子園の土」に果たして
価値が有るのかということは疑問ですが・・・