「毛嫌い」という言葉があります。
単に「嫌い」とだけ言うよりもかなり強い意味の嫌悪感を表す言葉という印象ですね。
そして「嫌い」との違いは意味合いの強さだけでなく、「嫌い」が形容詞であるのに対して「毛嫌い」は毛嫌いする、という言葉で動詞として使われるというところもあります。
それに「毛」を足しただけで意味を強く修飾するという使い方はほかの言葉ではありませんよね。そもそも「毛」って何の毛なのか・・・
いろいろと気になったので「毛嫌い」とは何なのか?その意味についてお伝えしていきたいと思います。
毛嫌いの意味とは?何の動物の毛?
「嫌い」と「毛嫌い」の違いは、意味として異なるというよりは「嫌い」という大まかな概念の中に「毛嫌い」という一つのカテゴリーがあるというようなイメージです。
数学的に言うなら「嫌い」が十分条件「毛嫌い」が必要条件です。
実はこの「毛」というのは鳥獣の毛から来ています。
具体的に鳥獣とは何なのかというと様々な説があるようですが、最も有力なのは「馬」です。
馬というのは家畜として人間に交配の相手を勝手に決められてきました。これは現代のサラブレッドも同じですね。サラブレッドにしても昔の家畜としての馬の交配にしても、それはいわば自らの意志ではない政略結婚のようなもので、やはり馬にも好き嫌いがあってどうしても気に入らない相手というのもいるようです。
そういったときに昔の人が「毛並みが気に入らないのだろう」「毛の色が嫌なのだろう」と勝手に決めつけたことが由来になっております。
異種の動物の相性について私たち人間が知ることなどできるはずもなく、特に馬は毛並みや毛艶などで体調を測ったりするところがありますからね。そういった人間の勝手な決めつけにより生まれたのが「毛嫌い」という言葉なのです。
このことから「毛嫌い」の意味は「明確な理由はないが感覚的に拒否感がある」というものです。わかりやすく言うと「生理的に無理」という感じですね。
何か理由があればわかりやすいですが感覚的に「無理」というのが毛嫌いなのでその嫌悪感の度合いは強くなります。
とはいえ、「毛並みが気に入らない」という明確な理由があるのではないかという矛盾も孕んでいる気がしなくもないですね。ただこれに関しては私たち人間の世界に置き換えてみても
「中途半端にハゲてるから嫌い」
「ハゲを必死で隠そうとしてる感じが嫌い」
というような毛並みを理由とした嫌悪感が果たしてその人を嫌いな理由として成り立っているか、というと疑問ですよね。これは「理由はないが嫌い」というカテゴリに分類してしまっていいのではないでしょうか。