牡蠣が海のミルクと呼ばれる由来とは?

牡蠣といえば冬が旬の食材の代表的な存在ですよね。

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鍋にしたりフライにしたり、あるいは生で食べたりと様々な調理法で楽しまれております。

個人的には牡蠣の味って結構クセがあるので生牡蠣は苦手で主にフライで食することが多いですが・・・

そんな牡蠣は別名「海のミルク」と呼ばれていることが有名ですが、なぜこの名前を付けられるようになったのでしょうか?その由来について探ってみました。

牡蠣が海のミルクと言われる理由

牡蠣というとまずイメージされるのは、あの乳白色の身ですね。

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この色がミルクの色に似ているということもありますが、それだけが由来ではありません。

ミルク、つまり牛乳というと小学校の時の給食で毎日のように飲んでいたことが思い出されますね。

ミルクは、様々な栄養を含む健康食品として積極的に飲んできたことと思います。特に骨を丈夫にするカルシウムが豊富に含まれているというのはよく聞かされてきましたよね。

一方で、牛乳はリンを含むことから逆に骨に含まれるカルシウムを溶かすのだ、という論調もあります。その証拠として酪農が盛んなスウェーデンなどで骨粗しょう症が増えていることを挙げておりますね。

とまあ、牛乳が果たして栄養豊富なのかどうかの真偽はともかくとして、牛乳といったら栄養豊富なもの、というのが一般的に知られていることから、同じように様々な栄養を含む牡蠣のことを「海のミルク」と呼んでいるのです。

いったい誰が言い出したのかはわかりませんが、牡蠣というのはかなり古くから食用として親しまれてきた歴史があります。日本では貝塚から大量の牡蠣の殻が見つかったということで、少なくとも弥生時代から食されてきたということです。

また、歴史上の偉人も好んで食したとされ、古くはローマ帝国の礎を築いたカエサルや、フランスの英雄ナポレオン、ドイツ帝国宰相ビスマルクなどの英雄が好んで牡蠣を食したとされております。日本でも、武田信玄が好物だったようです。

しかも、古代ローマの時代から牡蠣の養殖が行われていたようですね。

これは、牡蠣が美味しいという単純な理由もあったのでしょうが、それよりも軍事目的がまず先にあり、タンパク質を豊富に含み消化にも良い牡蠣が兵士の食事として適していたんですね。

そしてこのヨーロッパからはるか離れたアメリカ大陸においても、牡蠣は貴重な食料として食されておりました。自由を求めてアメリカに移住して開拓した人々は、当初は陸産物から収穫することがほとんどできずにいたため海産物を日々の糧とし、その中で牡蠣も食しておりました。

これは牡蠣が急激に成長するために収穫が容易、という理由があったようですね。

こうして食料が手に入りにくい冬場も牡蠣を食べて飢えをしのいだという歴史があるため、基本的に魚介類を生で食する習慣がないアメリカ人の間でも牡蠣だけは「特別扱い」として生で食べております。

何しろ、アメリカというのは大の「牡蠣消費大国」ということもでき、日本人が一年で一人あたりが食する牡蠣の量は40個程度ですが、アメリカ人は660個という膨大な量の牡蠣を消費しているくらいです。

こうしてみると、世界は「牡蠣によって作られた」と言っても過言ではないと思います。それはやはり牡蠣に含まれる豊富な栄養が理由になっているのでしょう。

具体的な数字でいえば、牡蠣100g中には一日に必要なたんぱく質の三分の二、カルシウムの三分の一、リンは全量、鉄分とヨードが4倍も含まれています。

たんぱく質には体の毒素を放出するグルタミン酸、システイン、タウリンなどがあります。

このほかにも「ビタミンA」「ビタミンB」「ビタミンC」などのビタミン群、亜鉛、銅などのミネラルも含まれております。

牛乳といえば、それだけを摂取し続けることで生きることができる「完全食品」として知られておりますね。

これはまあ、栄養豊富だということをアピールするための多少の誇張も含まれているので鵜呑みにする人もあまりいないと思います。実際には牛乳にはビタミンCや鉄分が少なく、牛乳だけを飲んで過ごしていると「牛乳貧血」を起こすとされておりますからね。

ただ単に「生き永らえる」ためならば牛乳だけでもなんとかやっていけるとは思いますけどね。

そして「海のミルク」と呼ばれる牡蠣も、本家ミルク同様に「海の完全食品」とされております。

しかしミルクと違うのは、アメリカ開拓時代を生きた人の飢えを凌いだという「実績」があるところです。

このことから、ほかに食べるものがないという極限状態でも牡蠣を食べることで食いつなぐことができるというのは確かでしょう。飽食の現代においてなかなかそういった事態に直面することはありませんけどね。

牡蠣は性別が変わる

海のミルクの話とは全く関係ない豆知識的な話ですが、牡蠣は生殖が終わる冬になるとオスとメスの区別がなくなり性別が「中性」になります。

そしてまた次の繁殖期にはオスかメスのどちらかに変わり、その前年の栄養摂取状態によってオスかメスのどちらかに変わり、栄養を豊富にとるとメスに、逆に栄養があまりとれないとオスになります。

母体を担うためには生命力が必要で、逆に男は少々貧相でも生きていけるということなのでしょうか?ちょっと面白いですよね。

この牡蠣の性質が「牡蠣」という言葉の由来になっております。本来であれば「蠣」だけでカキのことを意味するのですが、わざわざ「牡」という言葉をつけているのは、牡蠣の生殖器が雌雄とも白色を呈しており見た目が全部「牡」に見えることから「牡蠣」と呼ばれるようになったのです。

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