「お邪魔します」
「お邪魔しました」
人の家に招かれた時、あるいは去る時にこのような挨拶をする習わしがありますよね。
自らを「邪魔」と評することで相手を敬う謙譲語のような使い方をされていますがそもそものこの「邪魔」ってどういう意味を持っていてどんな由来・語源があるのかって気になりますよね。
「邪魔」という言葉はわりと日常でもよく使う言葉になっていますが、よ~く漢字を見るとものすごく禍々しい妖気みたいなものを感じませんか?
何しろ邪気の「邪」に魔力の「魔」を合わせて「邪魔」ですからね。これは何者かのとてつもない怨念がこもっていそうな言葉です・・・
ということで「邪魔」の意味や由来・語源について調べてみることにしました。
邪魔の意味・由来・語源
邪魔の元々の意味については、仏教用語が由来になっています。
冒頭でお話していたようなイメージに近く、「仏の正しい道を妨げようとする悪魔」のことを「邪魔」という風に呼んでいました。つまり「煩悩」というのが近い意味の言葉になるでしょうか。
悪魔そのものを指すため、「正しいことをしようとしているのに邪魔が入る」という風に「入る」とセットで使われるのが本来の正しい使われ方という風になります。
これがいつしか「妨げる行為そのもの」を「邪魔」と表現するようになり「邪魔をする」「邪魔される」という言葉へと変わっていったのです。
そして冒頭でもお話したように、日常生活にといて「邪魔」という言葉はそのまま使うというよりも家に招かれた時などに言う「お邪魔します」「お邪魔しました」というのが最も馴染み深いでしょう。
この言い方を誰が最初に使いだしたのかは調べてもよく分かりませんでした。
ただ、この「家に上がって迷惑をかけてしまうでしょうがお許し下さい」という意味を込めた回りくどくてへりくだった表現は日本が由来ということで良さそうです。
というのも、この「お邪魔します」に該当する表現が外国語の中には見当たらないからです。
正確に言うとお宅に上がる際の言葉というのはありますが、例えば英語なら
Thank you for inviting me.(お招きいただきありがとうございます)
と言った感じで、単純に自分を家に招いてくれたことに対する感謝の意を伝えているだけなのです。
これは何かお礼をされたら「ありがとう!」ではなく「すみません」と誤ってしまう日本人ならではの表現と言えるのではないでしょうか。
そうそう、英語といえば「妨害」を意味する言葉にjammerというものがあります。ちょうど日本語で言う「邪魔」と同じような意味で音も似ているんですよね。
なので邪魔の由来がこのjammerから来ているのではないか、という説もあるようですがこれは語源が全く違う言葉であり、音が似ているのは単なる偶然です。
まあ、日本語と外国語が奇跡的に意味と音が一致するというのは結構あることで、ドイツ語なんかでも
Ach so(あっそう)
なんて言葉があるくらいです。偶然の産物ですね。