一所懸命と一生懸命の違いは?意味はどう違う?

一生懸命

「一所懸命」と「一生懸命」という言葉がありますが、これらはどちらも音も意味も似ていますよね。

違うのは「所」というのと「生」という漢字です。

何となくのニュアンスで取れば一所懸命の方は「一時的に頑張る」で、一生懸命の方は「一生を懸けて頑張る」ということで、一生懸命のほうが意味としては強そうに思えます。

こちらでは「一所懸命と一生懸命の違い」についてお話していきたいと思います。

一所懸命・一生懸命の由来

まずは一所懸命の方の由来についてお話していきましょう。

かの松岡修造さんも「一つの所に命を懸ける!一所懸命!」と言っていますよね。

一所懸命

実はこの松岡修造さんの言うとおりです。

詳しく言うと、中世の頃の武士たちが先祖から受け継いだ土地を、時には戦をしてまで命を懸けて守ったことが由来になっています。

つまり一つの土地を「一つの所」とし、これを命を懸けて守ったから一所懸命というわけです。

正に一つの所に命を懸ける、ですね。

一所懸命の意味

辞書的に「一所懸命」の意味を言うならば

■ 一所懸命(いっしょけんめい)

[名・形動]
1 中世、1か所の領地を命をかけて生活の頼みにすること。また、その領地。
2 命がけで物事をすること。また、そのさま。必死。一生懸命(いっしょうけんめい)

こんな風になりますね。

最初は主に1の方の意味で使われていたのですが、やがて時代とともに2のような広い意味で使われるようになりました。

現代ではむしろ2のほうの意味で使うことはあれども、日常生活では「領地」とか「戦」との関わりが薄いので1の方の意味は廃れていってますね。

2の広い意味で使われるようになると、今度は「一所」という漢字に違和感が出てくるようになりました。まあ、土地を守るということが具体的によくイメージ出来ませんからね。

すると、「一所」と似たような言葉で日常生活でもよく使われていた「一生」が取って代わり、一所懸命ではなく「一生懸命」のほうが使われるようになった、という流れです。

一生懸命の意味

一生懸命の辞書での意味は

■ 一生懸命(いっしょうけんめい)

[名・形動]《「一所懸命」から
1 命がけで事に当たること。また、そのさま。
2 引くに引けないせっぱ詰まった場合。瀬戸際。

先程の一所懸命の意味の2とほぼ同じ意味ということがわかりますね。

つまり、一所懸命と一生懸命の違いというのは、意味で言えば違いは無いということになります。元々「一所懸命」だった言葉を言い換えて「一生懸命」にしているだけですからね。

より優れたものが主流になっていく

現在では、本来の正しい使い方である「一所懸命」は影を落とし、発展系である「一生懸命」のほうが幅を効かせていて、むしろ「一所懸命のほうが誤用じゃないの?」なんて思われている節もありますね。

第一人者を差し置いて後輩が台頭するというのはよくある話です。歴史で見てもかつてイギリスの植民地だったアメリカはその後独立を果たして世界の覇権を握りましたし、もっと身近な例で言ってもそうです。

カップラーメンなんかはチキンラーメンが元祖と言われていますけど、実際にはベビースターラーメンが元祖でしたよね。チキンラーメンは売れたから元祖と言われているだけに過ぎません。

チキンラーメン

そして言葉の世界というのはそういったことがよく起こります。例え誤用であってもより大衆が使いやすい表現が台頭していくというのは当たり前とも言えるレベルで起こります。

「一所懸命と一生懸命の違い」という話でしたが、より質の良いものが台頭して古いものは淘汰されていくという資本主義の原理みたいなものを見た気がします。

最後に言っておくと、意味としては「頑張る」というニュアンスで一所懸命と一生懸命の違いはそれほどありませんが、「1か所の領地を命をかけて生活の頼みにすること。また、その領地。」というほうの意味で使うなら、これは一所懸命でしか通じないということになります。

まあ、今後「領地を守る」なんて状況になることはほぼないでしょうが・・・

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