犬も歩けば棒に当たるの本当の意味とは?その由来や語源は

「犬も歩けば棒に当たる」というのは、ことわざの中でもかなり有名な部類でいわば「ことわざの代名詞」とも言える存在ではないでしょうか。

犬も歩けば棒に当たる

私自身も、小学校に入って一番最初に習ったことわざはこの「犬も歩けば棒に当たる」だったと思います。

言葉そのものは知っていて当たり前ということと、習ったのが小さいころということであまり覚えていないことが重なり、実はこの言葉の本当の意味を知らなかったりします。

おそらく、小学生の時に「覚えやすいように」と簡略化されたものを教わり、その深い意味を考えずにここまで来てしまったのが原因だと思うのですが、ざっくりと「猿も木から落ちる」のように、得意なことでも失敗することがあるという意味の言葉だと思っていました。

はて、本当にそうなのだろうか?という疑問が湧いてきたのです。犬を飼っている人なら良く分かりますが、犬って棒を避けるのが得意などころか、どこかに頭をぶつけたりしていて言うほど回避能力が万能、というわけでもないですよね。

そもそもこれのラインのことわざというのは、「弘法も筆の誤り」「河童の川流れ」とすでに3つも重複しており、さらに「犬も歩けば棒に当たる」が加わるとなるとさすがに無駄なような気がします。

そんなわけで「犬も歩けば棒に当たる」の本当の意味について調べてみました。

犬も歩けば棒に当たるということわざは江戸時代からできたもののようで、江戸時代の「いろはかるた」の「い」の一番に登場する読み札でありそこからかるた自体も「いぬぼうかるた」なんて愛称で呼ばれていたそうです。

犬も歩けば棒に当たるの本当の意味とは、積極的に外を出歩けば、理由もなく犬が棒で打たれるように災難が襲ってくる、ということです。

つまり、犬の回避能力の高さから来ている言葉なのではなく、ここで犬が出てきて急に棒で殴られるというのは完全にとばっちりです。そもそも犬が棒で殴られているところなどあまり見たことはありませんが、そういった予想外の災難、という意味で「犬も歩けば棒に当たる」という風に表現をしているのです。

今では犬が棒で叩かれるということは見かけませんが、昔は食べ物に困った下級武士などが犬を見つけたら獲物として捕らえて棒でボカスカ叩いて糧にしていたそうなんですね。野犬が多く、それが当たり前の時代だからこそ生まれた言葉です。

いつしか犬を食べるという習慣がなくなり、その本来の意味を忘れたころにここから転じて、「たとえ才能や運がなくてもそのうち思わぬ幸運に巡り合うことがある」という風に良い意味でも使われるようになったようです。なるほど、おそらく本当の意味を知っている人でも、たいていは悪い意味で使っていたことと思います。

「漫画で覚えることわざ」みたいなやつでも、たいていは犬が棒にぶつかって驚いたりしている様が描かれていますからね。

そうすると犬が当たって喜ぶ「棒」というのは何なのか?骨付きカルビとかですかね。「犬も歩けば骨付きカルビ」・・・非常にわかりやすい。

悪い意味だけならば「思いがけない災難があるからなるべく外には出かけないようにしましょう」という引きこもり推奨のことわざになるのですが、良い意味でも使われるとなるとまた違ってきますね。

このことわざが最終的に帰結すべき結論というのは「外に出れば良いこともあるが悪いこともある。悪いことがあるからといって家にこもっていては良いことにすら出会えない。だから悪いことには気を付けつつ、良いことを求めて外に出よう」というものでしょうか。

単純なことわざだと思っていましたが、その意味を考えていくとなかなか深いものがありますね。

これはおそらく、聞いた人がどう受け取るかによっても意味が違ってくるのでしょう。

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