2016年度後期のNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」の主人公・坂東すみれのモデルはアパレルメーカー・ファミリアの創業者である坂野惇子であることが知られております。
NHKが国営放送という理由なのか、作中において「ファミリア」という名前は出てこず「キアリス」という名前に変更されておりますが、それが理由で改めてアパレルメーカー・ファミリアにも注目が集まっているところです。
こちらでは、そんなファミリアという会社の社名の由来などをお伝えしたいと思います。
ファミリアの由来と創設秘話
「ファミリア」と聞いて思い浮かぶのは、このアパレルメーカーのほかにはサグラダ・ファミリアと自動車メーカーマツダの車でしょう。
これらの「ファミリア」はいずれも同じ意味で、フランス語で家族、という意味になります。
サグラダ・ファミリアというのは「聖家族」という意味で、これはマリア・ヨゼフ・イエスのことを指し聖家族の名の下に献堂される教会がサグラダ・ファミリアになります。
マツダのファミリアというのは、言わずもがなファミリーカーとして作られたもので「家族揃ってドライブを楽しんでほしい」という意味が込められております。
そしてこのアパレルメーカーのファミリアの由来もフランス語の「家族」から来ています。
ファミリアは、創業者である坂野惇子さんのほか、学生時代のクラスメートであり親友でもあった田村江つ子(たむらえつこ)さん、田村江つ子さんの姉である田村光子さん、犬の散歩が縁となり知り合った村井ミヨ子(むらいみよこ)さんが4人で始めた会社なのですが、いずれも結婚して夫がいる「主婦」でした。そして、この4人の夫はみな、自分の妻が仕事をすることに対して理解があるというパートナーに恵まれた女性たちでした。
今となっては女性の社会進出・共働きというのは当たり前のことになっていますがこの時代というのは相当稀なことだったでしょうね。
最初はごく普通の手芸店にする予定だったらしいのですが、坂野惇子さんは父や夫のアドバイスなども参考にして「女性の特徴を活かし、西洋風の育児の知識や経験を元にしてベビー服や子供服を作ってみてはどうか」と考えたのです。
これは、坂野惇子さんが当時西洋人の最新の育児方法を勉強していたというのが活かされたようですね。
全国のお母さんに愛されるということを目標にお店を始めたので、家庭的な雰囲気の名前を付けたいと思っていた坂野惇子さんが、ある日偶然出会ったフランス人に「家族」という意味のフランス語を何か聞いた時「ファミリア」と教えてもらい、「これだ!」と思ったのだそうです。
それだけでなく、英語においても「ファミリア」というのは「親しい」とか「家庭的」という意味があったので、そちらにもかけたダブルミーニングで「ベビーショップ・ファミリア」が始まったのです。
妻が仕事をすることに理解のある夫がいて、育児に詳しい妻が考える、赤ちゃんや子供のための服、ということでこれらを結び付けるキーワードは紛れもなく「家族」というわけで、ファミリアという社名はぴったりですね。
ファミリアのマーク(ロゴ)について
「べっぴんさん」においては「キアリス」のマークとして四つ葉のクローバーがあります。
これは上記のファミリア創業時に4人から始めたというエピソードから来ているものだと思われますが、当のファミリア自体には特に固定の企業ロゴやマークといったものは存在しません。ファミリアは製造時期によってタグの文字の色を頻繁に変えています。
また、ファミリアマークと思われている「クマ」がありますが、あちらはファミリアベアーという商品の一つであり、マスコットキャラクターとしての意味合いみたいなものはありますが企業を象徴するマークというわけではありません。