♪カステラ1番電話は2番~というフレーズで有名なカステラ。
カステラの老舗・文明堂のCMソングですが、これのおかげで3時のおやつといえばカステラ、というイメージが結構根強くありますよね。
あのCMに出てくる謎の生物の不気味さや「カステラ一番電話は二番」というフレーズの意味など気になる点はありますが、それは後述するとしてひとまず、「カステラ」そのものの由来や起源・歴史などをお伝えしていきたいと思います。
カステラの歴史・由来・起源とは
カステラというものは元々、外国で生まれたお菓子だということは容易に予想ができると思います。
15世紀~16世紀の大航海時代にスペインのカスティーリャ(Castilla)王国というところで生まれた「bizcocho(ビスコチョ)」というお菓子がルーツと言われております。
bizは「二度」、cochoは「料理する」という意味で、小麦粉と卵で作った生地を、その名前の通り「二度焼き」をするというものでした。二度焼きをするということでずいぶん固い料理だったようですね。これは船に積み込むための保存食という意味合いが強かったためと思われます。
砂糖が広まるようになると、ふんわりと膨らませたやわらかいビスコチョが作られるようになり、現在のカステラに近い形のものが出来上がります。
スペインとイベリア半島を二つに分け合う関係で一つの文化圏を形成していたのがポルトガルという国なのですが、そのお菓子をポルトガルがpao de Castelra(パオ・デ・カスティーリャ、カスティーリャの王国のパン)と呼んでいたのがカステラの語源となります。
ポルトガルと日本というのは1543年の種子島への鉄砲伝来から始まって鎖国するまでは浅からぬ交流がありました。
この時にかの有名な宣教師フランシスコ・ザビエルをはじめとして多くの船乗りや商人たちが長崎に上陸し、お菓子や葡萄酒などを与えて布教していったというわけです。
天ぷら、パン、カルタ、コンペイトウなど、実はポルトガル語が語源になっている日本語というものは結構あるのですが、それは日本とポルトガルが深く関わってきた証拠であって、「カステラ」というものもその一つというわけです。
カステラといったら長崎が本場といわれておりますが、それもそのはずで最初に日本にカステラが入ってきたのが種子島、長崎を起源とするという歴史があるからなんですね。
そしてこのお菓子について日本人がポルトガル人に尋ねたところ「これはカステラ王国のお菓子だ」と答えました。(ボロ・デ・カステラ Bolo de Castella)
ポルトガル語だと、カスティーリャよりも「カステラ」という発音に近いため、日本では「カステラ」という言葉として広まっていったというわけなんですね。
江戸時代に入ると「鎖国」体制になり、ポルトガルとの交流も途絶え、海外貿易も長崎出島に限られるようになったのですが、カステラは長崎で作り続けられます。そうしているうちに、段々と日本人の口に合うように改良されて現在のカステラへと近づいていきました。
この辺りは、海外から入ってきたものを創意工夫して独自のものに作り上げてしまうという日本人のすごさがうかがえるところですね。カレー、ラーメンなども本場のものとは違う、日本独自の味に作り上げましたからね。
明治時代に入るとほぼ今と同じカステラが作られるようになり、そして明治33年にはついに、長崎丸山の地にあの『文明堂』が創業されるというわけです。
カステラ一番、電話は二番 の意味とは?
文明堂といえば、カステラの老舗として有名なだけでなく、冒頭でも申し上げた「カステラ一番、電話は二番~」というフレーズでおなじみのCMソングが有名ですね。
文明堂のこのCMが放映開始されたのは1962年からで、それが長らく続いておそらく現在に至るまでこのCMは変わらずに放映されています。おそらく今後も変わらないと思いますが、この1962年という時代は、このフレーズ通り「2番」という一桁だけで文明堂に電話をつなぐことができました。
というのも、文明堂が加入者番号2000~2999をすべて独占し、下三桁を不要としたのです。
元々は、カステラとも文明堂とも全く関係のない異業種のキャッチコピーだったらしいのですが、それを気に入った文明堂の社長がそれをそのままパクりたい!と思って「2番」の電話番号を現在の1000万ほどの値段のお金を出して買い取ったんだとか。
具体的にどのような業種だったのかというと大阪・道頓堀にあった「本みやけ」というすき焼き屋で、そのすき焼き屋が「肉は1番、電話は2番」と宣伝してたのだそうです。
今では「本みやけ」というお店は道頓堀にはないのですが、同じ大阪の梅田ですき焼き・ステーキのお店として存在しています。
そんなわけで「カステラは一番美味い、電話番号は二番の文明堂ですよ~」という意味でこのフレーズは生まれたんですね。言ってみれば、深く意味を考えずともそのままの意味だったというわけです。
なるほど、確かにこれだけ「カステラ一番、電話は二番」というフレーズが耳に残っていることを考えると、1000万という先行投資は無駄ではなかったのかもしれませんね。
ちなみに、「カステラ一番、電話は二番」というフレーズとともに、人形のクオリティなのか羊なのかなんだかわからない謎の生物がダンスを踊っているのも印象的な文明堂のCMですが、あの生物が何なのかというと「小グマ」なんだそうです。
1962年に作られたCMを現在も踏襲しているわけですから、急にクマの人形のクオリティが上がっても視聴者は戸惑いますよね。だからこそ、あの微妙な人形を使い続けるという「伝統」を守っているのかもしれません。
実はこの「カステラ一番~」のCMは関東にある文明堂数社が共同で制作したCMなので、文明堂本店のある長崎や神戸ではCMが若干異なり、フレーズは同じものの若干メロディーが異なるようです。
長崎で流れていた文明堂のCMはこちらです。
「カステラ一番 電話は二番 文明堂のカステーラ」というフレーズなんですね。