一年の締めくくりの月である12月というのは、社会人であればお歳暮、忘年会、仕事納めなど、その年の区切りをつけるために何かとあわただしくなりますし、学生であれば期末テスト、成績発表、受験生なら翌月のセンター試験が控えており、やはり忙しくなりますよね。

 

 

そんな12月によく聞く言葉に「年の瀬」というものがあります。

%e5%b9%b4%e3%81%ae%e7%80%ac

 

 

おそらくこの「年の瀬」という言葉は、テレビやラジオなどでアナウンサーの人が使ったりするのを聞いてはいるものの、自身が言葉として発するということはあまりないのではないでしょうか。

 

というのも、「年の瀬」がどういう意味で、いつのことを指すのかいまいちわからないので、下手に誤用してしまうのが怖くて使わないのです。きっとみなさん思い当たりますよね?

 

無難に「年末」という言葉を使えば誰にでも理解できるし、わざわざ「年の瀬」なんて言葉を使わなくてもいい気もしますが、せっかく日本語として「年の瀬」という言葉があるのですから、ぜひその意味やいつのことを指すのかというのを知ったうえで正しく使っていこうではありませんか。

 

そんなわけで「年の瀬」の意味や由来、いつのことを指すのかというのをお伝えしていきたいと思います。

スポンサードリンク

年の瀬の意味とは

さて、「年の瀬」という言葉の意味を紐解くにあたってカギとなるのは「瀬」です。

 

「年」はさすがに誰でもわかるでしょうからね。

 

「瀬」という言葉の意味は

 1 川などの流れが浅く歩いて渡れる所。浅瀬。「―を渡る」⇔淵 (ふち) 

 2 川の流れの急な所。また、海水の流れ。潮流。「―を下る」「潮―」

 3 物事に出あうとき。機会。「身をすててこそ浮かぶ―もあれ」「逢 (お) う―」

 4 置かれている立場。「立つ―がない」

 5 そのような点。ふし。

 6 場所。ところ。

というものになります。(※goo辞書参照)

 

この言葉に共通するニュアンスとして「ある一点」を指すようなイメージが読み取れますね。この中で「年の瀬」の由来になっているのは、2 川の流れの急なところ になります。

%e7%80%ac

 

みなさんよくご存じだと思いますが、12月というのは何かと忙しくなる時期です。冒頭でも少し触れましたね。

 

そしてそれは昔の人たちにとっても同様で、年末というのはものすごくあわただしくなる時期だったのです。師走とも言うくらいですからね。

スポンサードリンク

 

そんな忙しくなる時期、つまり時の流れが早くなるということですから、それを川の急流とかけて「年の瀬」という風に表現したというわけです。なかなか趣がありますね。

 

特に、江戸時代の庶民の生活というのは、よほどのお金持ちでない限りはお米や味噌、酒などは後払い、いわゆる「ツケ」で支払っていました。

 

あるいは、その場で全額料金を精算してしまうと「その店とは縁を切る」ということにつながってしまうので、今後も通いますよという意味も含めて「ツケ」にするという江戸っ子の粋な計らいもありました。

 

そんなわけでツケが主流になっていたのですが、やはり向こうも商売ですから、いつまでもツケにしているわけにはいかず、年末になるとまとめて請求に回ります。

 

クレジットカードの支払いなどでも、その場ではお金を使わないけど忘れたころに請求がやってきますよね。また、一年に一度やってくる住民税、固定資産税、自動車税など、忘れたころにやってくる支払いの請求というものは怖いものです。まとめて払う分余計に高く感じるんですよね。

 

今ではお正月というと「休みだ~初詣だ~うぇ~い」くらいの感覚でしょうが、当時の日本人は年明けというものを決意を新たに前に進むための区切りにするということでとても重要視していました。

 

気持ちよく新たな年を迎えるためには前の年にやり残したことがあってはなりません。何としても年内にきちんと済ませましょうという風潮が人々の心を慌ただしくさせました。ツケの未精算などもってのほかというわけですね。まあお金のことだからなおさら綺麗にしておきたいというのがあるでしょうし。

 

 

そんなツケの支払いが年末になると一気にやってくるので、そのための金銭を調達しなければならないのでした。

 

とはいえ、そもそも普段からお金を持っていないから「ツケ」にしているわけで、年末になって急にお金持ちになるはずもありません。

 

だが支払いが滞ってしまえば信用を無くして、来年からはツケで買うことができないので、何とかやりくりしなくてはいけません。しかし払ってしまえば今度は目先の日銭すらも怪しく生活が厳しい・・・

 

なので資金繰りにとても忙しく、そのような年末のことを「年の瀬」と表現したというわけです。

 

急流を渡れるかどうかの死活問題を、無事に年を越せるか否か、ということに引っ掛けたんですね。

 

特に江戸時代は天候不順による飢饉・凶作などもあり市民の生活が苦しいものでした。ツケの支払いですら死活問題だったわけです。

 

まあ、「瀬」という言葉には「流れは急だが立つことはできるところ」という意味もありますから、そういったツケの支払いも何とかやり切ったのでしょう、たぶん。

 

年の瀬はいつからいつのこと?使い方は

年の瀬には正確にいつからいつのことを指すという意味はなく、ざっくり「12月初め~12月末」、つまり年末と同じような意味で使えばいいでしょう。

 

「瀬」という言葉からすれば、とある一点のことを指してもよさそうなものですがね。

 

とはいえ、前述のように逼迫した人たちの心情を表すような由来があったので

・年の瀬も押し迫って
・年の瀬も押し詰まって

なんていうかなり緊迫した雰囲気の言葉が使われているのです。そりゃあ、借金の支払いが近づいているなら「押し迫る」「押し詰まる」という表現が適当でしょうなあ。

 

「押し迫る」「押し詰まる」はどちらでもいいと思いますが、本来の意味からしてもこのように使うのが最も良いでしょう。「年末」に少し慌ただしさを加味した表現になりますね。