「お茶を濁す」という言葉があります。

 

お茶

何か聞かれたくないことを聞かれた際に、適当に取り繕ってごまかすというようなイメージの言葉ですね。

 

とかく日本人は「本音」と「建前」を使い分ける生き物ですので、聞かれたくないことを聞かれた時には適当にごまかすことで人間関係を円滑にするという手法をどこかしこで目にします。

 

そんな日本人の生態と「お茶」という和のイメージが相まって、「お茶を濁す」という言葉は非常に秀逸な表現と言えますね。

 

しかしよく考えてみると「お茶を濁す」という表現はどこか不思議な印象を受けませんか?

 

こう言ってはなんですが、お茶というのは元々濁ったような色をしていますよね。

 

 

私たちはお茶があの色だという風に知っているから違和感はありませんが、例えば全く知らない異国の地で突然「緑色の熱い液体」を出された際に、それを無警戒に飲むという勇気を持ち合わせている人が果たしてどれほどいるでしょうか?

 

おそらく、ほとんどの人が「何だこの不気味な液体は・・・」と思うでしょう。

 

 

元々濁っているような色をしているお茶をさらに濁す、となると私たちが普段使っている「適当にごまかす」という意味よりも「ぬかに釘」や「のれんに腕押し」など、手ごたえがなく無意味な行為のことを指しているようにも思えてきます。

 

 

そこで、「お茶を濁す」の由来や本来の意味、また似たような表現である「口を濁す」との違いについて調べてみることにしました。

 

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お茶を濁すの意味や由来とは

そもそも「お茶」という単語に続く動詞としては、淹れる(入れる)とか引くというのが一般的です。

 

特に、一般家庭で飲まれているような煎茶ではなく、きちんとしたいわゆる「お抹茶」ならば「引く」のほうが適当です。

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「お茶を引く」となると、水商売の女性に指名が入らないことを意味してしまいますが・・・「お茶を引く」そのものの由来が昔、客のつかない遊女が茶臼で茶を引いて時間をつぶしたところから来ていますのでお茶は「引く」のが一般的なものなのです。

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それとは別に「濁す」というのは少々乱暴なイメージがある言葉ですよね。

 

つまり、お茶を濁すの「濁す」というのは、お茶の作法を知らぬ輩がお抹茶を適当に掻きまわしてなんとなくそれっぽく見せてその場をごまかすという、正式な「引く」と区別するために使われた言葉なのです。このことから「お茶を濁す」はその場しのぎで誤魔化す、という意味で使われるようになりました。

 

これは、昔はお茶というものが大変貴重で貴族や僧侶にしか飲めない特別な飲み物であったこともあるようです。

 

お茶自体が日本に入ってきたのは奈良時代頃ですが、一般に広まったのは室町時代と言われていますね。

 

今ではお茶なんて一般家庭においても気軽に飲めるものですから、お茶を濁したところでまた新しく作ればいいと思いますが、お茶が貴重だった昔は適当にかき回す様がもったいないという意味も込めて「濁す」という表現を使っていたのでしょうね。

 

あるいは、何か芳しくない状況に立たされた際にこの高級品であるお茶を出すことで話を逸らしたことから「お茶を濁す」の由来になったのだ、という説もあります。

 

ただこの由来が正しいとすれば「お茶を濁す」ではなく「お茶濁す」になるはずですね。

 

まあ、それにしてもこんな風に「あ、UFOだ!」で誤魔化せる場面がどれほどあったのかということも疑問ですけどね。芸能人の誰々が結婚したというニュースで家族から「お前いつ結婚するんだ?」という話題にしたくないために他の話題へ逸らす、くらいのことはできるかもしれませんが・・・

 

それくらいの軽い話題逸らしにしか使えないという意味では正に「その場しのぎ」でしかないというのは確かなのですが。ただこちらの由来は後付けでしょうね。

 

あるいは、出されたお茶の濁り具合を話題にして話を逸らすことが由来になったという説もあります。

 

いわゆる話題に困ったときの「今日はいい天気ですね」なのですが、さらにピンポイントで「お茶が濁ってますね」というわけです。しかしお茶の濁り具合で話を逸らせるのであれば、それはもはやその場しのぎどころか、その人物の話術の巧みさを称えるべき話です。

 

口を濁すとの違いは?実は間違い?

お茶を濁すと似た言葉に「口を濁す」という表現も使われますね。

 

ただ実はこれ、本来は「言葉を濁す」という表現が正しく「口を濁す」というのは間違いなんです。

 

こちらの意味としては「はっきりと言わずに曖昧にする」ということです。「お茶を濁す」は言葉に限った事ではないのですが、こちらは「言う」ことに関しての振る舞いという違いがあるようですね。