お会計の時に「おあいそお願いします」と言う人がいますよね。

 

 

私自身は、「おあいそ」自体の意味がよくわからなくて、変なところで使ったら誤用になるかな、と思っているのでお会計の時は普通に「お会計お願いします」と言います。

 

でも、おあいそって実際どういう意味なんでしょうね?「おあいそ」と聞いて漢字で思い浮かぶのは「お愛想」でしょうか。愛想を尽かすとか、愛想を振りまくとかあまりいい意味では聞かないような言葉ですが・・・

 

ということで、「おあいそ」という言葉の意味・由来・語源などを調べてみることにしました。

 

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おあいその意味とは

「おあいそ」という言葉がよく使われるのは、お寿司屋さんでのお会計の時でしょうね。結構なお寿司屋通の人が「おあいそお願いします」と言っているのを聞くと、「ああ、あれがお寿司屋通の言い方なんだな」と感化されてしまうのは分かります。

 

しかし本来、「おあいそ」というのは客側ではなく、店側が使うものです。この辺りは醤油のことを「むらさき」、お茶のことを「あがり」と言うのと同じです。

 

「おあいそ」というのは、店側がお会計の時に客から代金をもらうことについて

今日はわざわざお越しいただきましてありがとうございます。こちら、色々と不手際などございましたかもしれません。それなのに、会計のことを申し上げるなど愛想のないことで恐縮です。大変失礼いたしました。どうぞまた、これに懲りずにお越しくださいね」

と、客に勘定書を出しながら謙遜で言っていたものが語源になっております。

 

これは、昔はお店の常連客が料金の一部をわざと未払いにする、いわゆる「ツケ」の文化が主流だったことも影響しています。深い関係のお店とはツケが当たり前で、それをすべて清算するということは「もうこの店には愛想を尽かした」というような意味になるのです。

 

そんな背景もあって、代金をもらうときにお店側の人が「愛想尽かしなことですが・・・」という意味も込めて上記のような話をしたのでしょう。

 

なので、客側がお店の人に「おあいそお願いします」と言うのは失礼なんですね。これがまだ寿司屋なら通じるかもしれませんが、まったく関係のない居酒屋などで使用したらもう意味不明ですね。

 

実際、4割くらいの人がお寿司屋さんでのお会計の時に「おあいそ」という言葉を使っているというアンケート結果が出ています。

 

文脈にもよるんですが、例えば「おあいそお願いします」という使い方なら、「お願いします」という丁寧語が入っているのでまだ良いかもしれません。しかし、「大将、おあいそ!」という風に使ったらどのような意味になるのかというと・・・

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「大将、こんな愛想のない店は出たいから清算してくれ!もう二度とこない!」

というような意味になってしまいます。

 

 

まあそもそも「お愛想」というように頭に「お」を付けるのは、店側から客に提示する時に使う言葉ですよね(お持ち帰り、お一人様など)。そういう意味でも客が「おあいそ」と使うのはおかしいんですけどね。

 

今まで、寿司屋だからこそ、と通ぶって「おあいそお願いします」という風に使っていたことと思われますが実はこれは間違いだったんですね。「お会計」「お勘定」というような意味で使っていた人は、今後「おあいそ」と言うのはやめたほうがいいでしょう。

 

何よりも通ぶって「おあいそお願いします」と言っていたのに、実はお寿司屋に

「こいつおあいその意味知らないくせに通ぶって使ってやがるよ」

と内心笑われていたかもしれない、となると赤っ恥ですよね。

 

そしてそれは、伝統のあるお寿司屋さんこそ本来の「おあいそ」の意味をよくご存じでいらっしゃると思います。もちろん、目の前で指摘して客に恥をかかすなんてことはしないはずですし、ここまで「お会計」としての意味で使われてしまっていることもよくご存じだとは思いますけどね。

 

まあおそらく、どの時代にも「○○通」という知識をひけらかしたい人というのは存在します。そういう人が寿司屋に行ったときに店員同士の会話で「おあいそして~」とでも言っているのを聞いたのでしょう。そして「寿司屋っつーのはな、会計のことをお愛想って言うんだ」とそれを周りに吹聴した、というようなところからこの「おあいそ」が広まるに至ったのではないか、と予想しています。

 

おあいその由来は

 

おあいその由来についてなんですが、明治時代の中期の京都が発祥の地とされています。

当時にあった雑誌『風俗画報』の中で京都で流行っている言葉として「おあいそ」が載っていたことがきっかけのようです。

 

京都というのは回りくどい心理戦が繰り広げられることで有名で、常に言葉の裏に隠された本音を読み取らなければなりませんね。何かに誘われても建前として「2回断らなければならない」というのは京都人の県民性を示す顕著な例でしょう。

 

あるいは、近所のおばさんに「坊ちゃん、ピアノ上手にならはったなあ」と言われたら、「そんなことはないです」と言うのではなく、「聞こえてましたか、申し訳ございません。ご迷惑をおかけしました」と謝るのが正解です。

 

こんな風に遠まわしに言ってくる京都人なら「お会計をもらうなど愛想のないことで・・・」と言ってくるのも納得がいきます。そしてそれに対して客も「とんでもございません。とてもよく尽くしてくださいました。」と返すのが美徳だったのでしょうね。