みなさんは、「煮詰まる」という言葉を聞いてどのような印象を受けるでしょうか。

 

 

そのまま文字通りに解釈するならば長時間煮ることで水分が飛んでカラカラの状態になることです。さらに、そこから転じて「もうそれ以上進展が望めない」という、行き詰まりの様子を示すようなニュアンスでこの「煮詰まる」が使われていたりします。

 

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しかし、上記のような意味で「煮詰まる」という言葉を使用しているとしたら、それは誤用です。まあ、この辺りは池上彰さんや林修先生などがテレビで間違っている、というような説明をしていたりして今では結構知っている人もいるんじゃないでしょうか。

 

しかし、未だにそれらを知らない人というのも少なからず存在すると思います。もはや今となっては「林先生がこの前テレビで言ってたこと」「池上さんがこの前テレビで言ってたこと」になりつつあり、人に聞くにも聞けない状態だと思いますのでこちらで改めて説明していきたいと思います。

 

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煮詰まるの意味や由来とは

「煮詰まる」の本来の意味というのは、会議などの議論の場においてアイディアや考えが出尽くし、そろそろ結論が出そうな状態のことを指します。これは正に、長時間煮ることで水分が飛び、そろそろなくなろうかという状態になぞらえています。

 

煮物料理で煮汁がなくなるほど煮込むということは、それはまさに完成に近づいているってことですよね。お鍋を火にかけたまま放置してしまって水分が飛んでカラカラになった状態のことではありません。

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これは、私たちが普段イメージする「煮詰まる」とは正反対ですよね。アイディアや考えが出尽くして八方ふさがりの行き詰まりの状態のことをイメージしていましたから。

 

なぜこのような誤用をされるようになったのかは不明ですが、恐らく意味も語感も似ている「行き詰まる」と混同していったのが原因ではないでしょうか。そしておそらく、2000年頃からこの使い方が広まっていったとされております。

 

よく「議論が煮詰まる」という風な使われ方をする「煮詰まる」ですが、これはそろそろまとまりそうなことを指しますので、人によって解釈が異なるとすれば意思疎通がうまくいかなくなってしまいますね。

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特に若い世代になるほど誤用で覚えている人が多く、2008年時点での文化庁の調査によれば10代~30代で誤用である「行き詰ってしまっている状態」のことを指す、と覚えている人がなんと7割にも上ったそうです。特に10代では20%にも満たなかったのだとか。

 

逆に50代、60代の人たちは正しく覚えている人が7割以上にものぼったようです。

 

まあこれは結構前の調査なので、今では林修先生や池上彰さんなどの文化人がテレビで活躍してるおかげで正しい意味を知っているという人も段々増えてきてはいると思いますが。。。

 

それにしても、全く正反対の意味で覚えている人が多いというのは問題ですね。文脈としておかしい使い方ではないので文章として成立してしまうからです。

 

例えば上司が若い部下に対して

「どうだ、議論は煮詰まってきたかね」

と問いかけた際に

はい、煮詰まってます・・・

と答えたならば、上司としてはそろそろ結論が出るんだなという意味で捉えますし、逆に部下としては「行き詰ってます」というSOSを発していたというコミュニケーションの齟齬が発生してしまいますね。

 

こうなってしまっては、「今お前が言った『煮詰まる』というのは、そろそろ結論が出そうという意味で言ったのか?それとも行き詰ってしまっているという意味で言ったのか?どっちだ?」といちいち確認しなければいけなくなってしまいます。

 

それだったらわざわざ「煮詰まる」なんて言葉は使わずに「結論は出そうか?」と分かりやすい言葉を使ったほうがよさそうですね。いくら正しい意味で使っているとしても、相手に伝わらなければ言葉としての意味を成しません。

 

これは偏見ですが、わざわざ難しい言葉を使う人は自分の賢さをひけらかしたいという姿勢があるように思えてなりません。例えば頻繁にカタカナ語を用いる人っていますよね。「インスパイアされた」だの「コンプライアンス」だの。

 

ほかに日本語で表現がしにくい場合や、帰国子女でつい日本語と英語が混じってしまうという人でない限りは、わざわざカタカナ語を使う実用的な理由というのはないはずです。

 

これだけ、間違って覚えている人が多いという現実を考えれば、わざわざ「煮詰まる」を正しい意味で使うことで、もし相手が誤解していそうなら「煮詰まるの本当の意味っていうのはな・・・」と説明しだす人というのも知識をひけらかしたいだけのように思えます。

 

「正しい本来の意味」を知っておくことは大切ですが、それはあくまで自分の心の中に留めておいて、相手に伝えるときはわかりやすい言葉を選ぶことが、コミュニケーションの本懐ではないでしょうか。

 

そもそもこの煮詰まるという言葉が「結論が出そうな状態」のことを指して使われるようになったのは90年代からだといいます。そして、「行き詰まる」という意味で使われるのが流行りだしたのは2000年頃からですが、実はそれよりももっと前の1950年代にも使われていたという話があります。

 

そうなると何が「本来の意味」なのかわからなくなってしまいますね。やはり「相手に伝えること」が最も重要だと思います。