いけすかないの意味とは?イチローはマイペース野郎?

「いけすかない」という言葉があります。

「いけすかない野郎だ」といった具合に、気に入らない人を貶す言葉として使いますね。

有名なところだと、「カイジ」の利根川幸雄先生が初登場の大演説の際に成功者である将棋の羽生善治、メジャーリーガーの野茂秀雄、イチローを「もし彼らが成功していなかったらどうだったか?」という仮定をしてそれぞれ「根暗、ウスノロ、いけ好かないマイペース野郎」という通り名をつけておられました。

作者の福本伸行先生の個人的な見解の代弁をさせられたような感は否めませんが、「カイジ」の知名度の上昇とともに1巻に出てくるこの台詞のおかげで「イチローはいけ好かないマイペース野郎」という印象を持つ人が一定程度存在していると言えるでしょう。

最近ではトヨタのCMで「イチローが嫌いだ。」などと言われたり成功者たるものは後ろ指を指されることを覚悟しなくてはならない立場なんですね。

さて、利根川先生が言われた「いけすかないマイペース野郎」の「いけすかない」とは本来はどういう意味があるのでしょうか?それについてお伝えしていきたいと思います。

いけすかないの意味とは?「いけ」って?

「いけすかない」というのは「いけ好かない」と書くこともでき、江戸時代から存在する表現です。

好かないってのは文字通り好かないという意味ですが、では「いけ」というのはどういう意味なのか?

「いけ」というのは接頭語で、そのあとに続く言葉を強調する際に使うものです。

元々は「立派だ」という意味の「いかし」という言葉だったのですが、これが形容詞の「いかい」という言葉に変わり「大きい」といった程度を表す意味になり、副詞の「いかい」へと変わり、さらに短縮されて「いけ」という風に変わっていき、やがて接頭語として後に続く言葉を強調するようになりました。

例えば「いけすかない」以外にも「いけしゃあしゃあ」や「いけしつこい」といった具合に使っていたりします。

「いけしゃあしゃあ」という言葉も「いけすかない」と構造は同じで「いけ」+「しゃあしゃあ」、しゃあしゃあというのは「恥知らず、厚かましい」という意味で「いけ」はそれを強調する形になっております。

また、「いけ」自体に憎悪や卑しみ、苛立ち、非難、腹立たしさなどの負の感情が込められております。

「いけ」自体の語源は「生ける」の連用形が由来になっているとする説や、「余計」が変化したものが由来になっているとする説、「意気」が転じたとする説などありますがいずれも定かではなく、また前述したような意味の言葉との関連性も不明です。

なので意味としては「いけ」を強調する接頭語としてみるなら「非常に気に入らない」というふうになり、単に負の感情をこめて言うなら「理由はないがなんとなく嫌い」という意味になります。現代では後者のほうがよく使うように思えます。

単純に「あの人好きじゃない」とはっきり言うよりは「あの人いけ好かない」というと、「理由はないってことを自覚している」ということをアピールできるため、ある程度分別がある人という印象を与えることができます。

ただいずれにしても、いけすかないという言葉には個人の感想が込められていますね。

通常こういった混じりけのないストレートな悪口というのは近くにいる人に向かって言う機会はありません。

例えば同僚のことを「理由はないけど何となく嫌い」と陰で言おうものなら、それを聞かされる人に人格を疑われることでしょう。

そうすると「いけすかない」と言われる対象というのは必然的にメディアへの露出が多い芸能人ということになります。「理由はないけどなんか嫌い」などという暴言を吐けるのは日常生活で接点のない人だけでしょうからね。

例えば女優の高畑充希さんですが、この方はどういうわけか「理由はないけど何か嫌い」という人が結構いるみたいです。

芸能人に対しての憎悪は表出しやすいですが日常生活においてはそう機会がありません。いつどこで人に「あの人いけすかないなあ~」と思われているのか、と考えるとちょっと怖いですね。まあ「理由はないけど嫌い」なのですからわかったとしても改善のしようがないのですが・・・

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