「寄せては引く波のように」という言葉のとおり、波には寄せ波(押し波)と引き波があります。

 

その名前の通り、寄せ波(押し波)というものは沖から岸へ、その逆が引き波というわけですがこの二つにはどのような違いがあるのでしょうか?

 

 

まず、寄せ波(押し波)と引き波の原理の違いについて説明すると、これは海底を震源地とする地震が起きた際に、海底面がボコッと隆起した場合は寄せ波(押し波)が発生し、逆に海底面が沈降した場合に引き波が発生します。

 

どちらの地震が起きたか、というのは現時点では地震を観測した際にはわからないため、どちらの波が起こっているかを沖を見て予想するしかありません。

 

素人考えだと、寄せ波(押し波)のほうが力強く、勢いがあるのでこちらのほうが怖いのではないかと思いますね。なぜなら、来たものが戻るだけなのでそれ以上の強さにはならないような気がするからです。

 

しかし、引き波というのは寄せ波(押し波)によって高所に達した後に、単に戻るだけでなく、高所から低所へと流れる重力の加速を伴うので、寄せ波(押し波)よりも破壊力が大きくなり、寄せ波(押し波)でびくともしなかった建物などが引き波によって破壊されてしまうという事態が起こるのです。

スポンサードリンク

 

それは、寄せ波(押し波)が押し寄せたことによって浮力で浮いたものが、引き波によって水位が急激に下がって地面に叩きつけられるという衝撃もあるからなのでしょうね。

 

これは、広いところよりもリアス式海岸のような狭いところほど顕著なようです。このような狭く、奥行きのない海岸部というのは波が押し寄せることで津波高の数倍の高さの地点まで波が駆け上がってしまい、引き波となって沖に戻るときの破壊力が倍増するのです。

 

あとは、引き波が沖に戻るところと、寄せ波(押し波)がぶつかって交差するところもありますから、その衝撃もすごいでしょうね。

 

加えて言うと引き波と寄せ波の怖さの違いというのは、その波の強さそのものだけではなく引き波の「すべてを海に引きずり込んでしまう」という性質にあります。

 

単純に、寄せ波(押し波)の場合は海から陸へと流れるので陸へと行きつきますが、引き波の場合は海へと引きずり込まれ、生存の可能性が限りなく低くなるという恐怖があります。

 

津波のような大きな災害の話ではなく、もっと身近な海の水難事故で考えてみましょう。海で泳いでいた人が溺れてしまう時というのは、引き波が強力なために岸にたどり着くことが出来ずに溺れてしまうという事態に遭遇するのです。